【CRI時評】鍵のかかった缶詰は米国人の安全に対する悪夢の凝縮

2022-08-19 12:38:11  CRI

 売値わずか3ドル99セントのランチョンミートの缶詰が盗難防止用の箱に入れて売られている。一晩になんと4人の泥棒に入られた商店もある。こうしたまか不思議なことが、まさに米国最大の都市ニューヨークで起こっている。現地メディアの報道によると、最近ニューヨークでは窃盗事件が激増しており、一部のショッピングセンターやスーパーマーケットでは、例えば肉の缶詰、歯磨き粉、石けんなどの廉価な商品に鍵を掛けて売るなど、何らかの自衛措置を取らざるを得なくなっている。記事は、この光景は米国の国家的危機の縮図だと述べている。

 窃盗事件の増加に加えて、銃による暴力とヘイトクライムも米国人にとっては悪夢になっている。米国の超党派組織「刑事司法委員会」が最近公布した「2022年米国犯罪中間報告」は、全米23都市の上半期のデータに基づいて、殺人事件が2019年の同時期より39%増加したことを明らかにしている。ほかにも、米国の主要29都市において重度傷害罪と強盗事件がそれぞれ4%と19%増加し、財産犯が6%、窃盗事件は20%も増えている。こうした現象はますます深刻化しており、その直接の原因は感染症の流行とインフレなどの要因が絡み合い、重なり合っていることだ。米国の政治家たちの「成り行き任せ」の感染症対応の結果が、感染症による死亡者数の百万人突破を招き、経済の回復を遅らせ、インフレを加速させてもいる訳だ。米国労働省が発表したデータによると、7月の消費者物価指数(CPI)は前年比8.5%上昇と、ここ40年来の高い水準に留まっているが、このことが米国国民の財布の逼迫(ひっぱく)感と心理的なうろたえをいよいよ強めている。社会的なギャップが蓄積し、為政者が行動を起こさない中、ニューヨーク大学のアンナ・ハーベイ教授(政治学)は「米国の各地で暴力犯罪が増加しているのが分かる」と指摘している。

 唯一の超大国でありながら、人々は不安におびえて生活している。これは米国政府のガバナンスの失敗であり、米国式人権の汚点でもある。最近、「ワシントン・ポスト」が掲載した、7月に米国で販売された銃が120万丁を超え、過去最高を記録したというニュースが米国人の不安をさらに募らせた。ますます多くの米国人が自らを守るために銃を購入し、同時に、さらに多くの人が安全に対する不安を募らせるという、一つの悪循環に陥っている。米国という最大の強国は、自国がこの国難を乗り切れると考えているのだろうか。自国民の安全すら守れない国が、どうやっていわゆる「世界の警察官」になれるのか。(CRI評論員)

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