中国映画を音楽で彩る名作曲家・雷振邦さん(後編)

2022-07-30 22:24:43  CRI

 今週の中国メロディーは先週に引き続き、中国の著名な作曲家、雷振邦さんが生み出した名作映画音楽をご紹介しましょう。

結婚の誓い

 『蘆笙恋歌』は1957年に長春映画制作所が撮影した中国雲南省瀾滄江地区のラフ族の生活を背景にした映画で、歌って踊るラフ族の素朴な民風と、青年男女の真摯な愛情を描いています。

 『婚誓(結婚の誓い)』は映画の中で男女の主人公が互いに愛を告白する時に歌うラブソングで、雷振邦さんが創作した名曲の一つです。絶え間なく流れる川の水、芭蕉の葉と芽、つがいになって飛ぶツバメ、ミツバチの花の蜜への愛着を借りて愛し合う恋人同士の甘くて真摯な気持ちを飾り気なく表現しています。

 その純真で素朴な旋律は雷振邦さんがラフ族の村に深く入り込んで、現地の人々と労働しながら共同生活することを通して、ラフ族の伝統的な民謡であるロ笙(しょう)節に着想を得て創作したものです。

山の歌は春の川のよう

 1959年に中国初のカラー音楽劇映画『劉三姐(劉家の三女)』は上映されるや否や、センセーションを巻き起こしました。この映画は登場人物、景色、歌、三拍子そろって美しく、中国映画史上の名作と絶賛されました。映画の中の『山歌好比春江水(山の歌は春の川のよう)』など多くの優れた挿入歌も雷振邦さんが創作したもので、これまで広く歌われてきました。

 映画は、広西の伝説上の歌姫・劉家の三女と地主との闘争を描いています。しかし、闘争は血と火の残酷な形ではなく、民謡の掛け合いで巧みに表現されています。映画には機知に富み、茶目っ気があり、陽気な要素が溢れ、本当に見ていて飽きない佳作です。音楽を楽しみながらぜひ興味のある方は映画をご覧になってみてください。

 特に、少数民族の生活に由来して、自然の息吹に満ちた挿入歌はまるで漓江の川の水のように澄み切って優美で、何度聞いても飽きないほどです!

祖国の復興を若い世代に託す

 1984年、テレビドラマ『四世同堂』の音楽総企画を担当した雷振邦さんは、老舎氏の同名長編小説を元にアレンジしたこの作品について、北京の伝統的な演芸である京韻大鼓を主題歌のベースとして選ぶことを提案しました。

 主題歌が完成した後、雷振邦さんの招きで、京韻大鼓の名優である駱玉笙さんは主題歌『重河山待後生(祖国の復興を若い世代に託す)』を収録しました。愛国の情熱を込めたこの主題歌は、駱さんの悲痛な中にも力を与える歌声によって味わい深く表現されていて、今も多くの人の耳に残っていることでしょう。

 1997年、雷振邦さんは81歳で病気のため死去しました。しかし彼が命と情熱をかけて作った歌は今も中国の大地で歌い継がれています。

番組の中でお送りした曲

1曲目 婚誓(結婚の誓い)

 映画『蘆笙恋歌』の挿入歌です。

歌詞:

 私と彼の愛は長く

 まるで川の流れのようだ

 川の水が尽きても

 彼はいつまでも私の傍にいる

 つばめがそろって空を飛ぶ

 私と彼がブランコに乗ると

 ブランコは青空に飛び出した

 雲の中を行くツバメのように

2曲目 山歌好比春江水(山の歌は春の川のよう)

 中国初のカラー音楽劇映画『劉三姐(劉家の三女)』の挿入歌です。

歌詞:

 山の歌は春の川のよう

 暗礁と曲がりくねった道も恐れない

 山の歌よ

 こちらが歌うと 向こうも歌う

3曲目 重整河山待後生(祖国の復興を若い世代に託す) 

 テレビドラマ『四世同堂』の主題歌です。

歌詞:

 千里には刀が光り

 町の中に恨みの火が燃える

 月は丸くなるが家族団欒はまだ遠い

 花が咲く土地に平和はまだこない

 戦場に行って雪辱を果たそう

 祖国の復興を若い世代に託す

ラジオ番組
KANKAN特集