北京
PM2.577
23/19
原子力規制委員会は22日に臨時会合を開き、東京電力が策定した福島第1原発の汚染水の海への排出計画を正式に承認した。これは極めて無責任な決定だ。
まず、福島の汚染水は原発の日常運転から排出される廃水とは比べものにならない。一般的な原子力発電所の運転排水は、原子炉の炉心と直接接触することはない。しかし、最高レベルの原発事故で発生した福島の廃水は、より多くの種類の放射性物質を含み、放射能が高く、適切に処理されていなければ、高濃度の汚染水となる。
日本政府の最新の報告によると、現存する福島の汚染水には放射性トリチウム以外にも数十種類の異なる放射性物質が含まれているという。例えば、福島の汚染水にはストロンチウム90が含まれており、一般的な核廃水にはほとんど出てこない。ストロンチウム90はリスクの高い放射性物質だ。研究報告によると、ストロンチウム90に接触するとDNAの二本鎖が切断されることがある。また、福島の汚染水には半減期が千年を超える炭素14が含まれている。炭素14の半減期は5730年と長く、タンパク質、核酸、特にDNAなどの細胞構成に溶け込むことができ、それによる DNAの損傷は細胞死や潜在的な遺伝的突然変異を引き起こす可能性がある。これらの物質は海洋の食物連鎖に中長期的に蓄積され、生物の細胞に深刻な損害を与え、人類に潜在的な健康リスクをもたらす可能性がある。
次に、多核種処理システム(ALPS)技術で処理された福島の汚染水は、関連する国際排出基準に達することができるのだろうか。これは非常に重要な問題である。日本政府が「基準を満たしている」「環境要件を満たしている」と表現している「核処理水」は、事実上、国際的な排出基準を有していない。なぜなら福島原発事故は、1986年のソ連・チェルノブイリ原発事故以来、人類が遭遇した原発事故としては最悪であり、未曾有の事故であるからだ。そのため、日本が「合格」と言っている処理水は、日本が独自に定めた排出基準に基づいている。また、もう一つの重要な問題は、東京電力がALPS技術で処理した後の核処理水には(放射性トリチウム以外の)放射性汚染物質は残留せず、「処理後」の放射性トリチウムを含む廃水だけを海洋に放出すると表明したことである。しかし、そうではなかった。
東京電力が開発し、2013年に稼働したALPSシステムは、日本の汚染水処理の基幹システムだが、システム処理後の「トリチウム」は、既存の技術水準を踏まえると依然として除去できていない。また、東京電力の発表によれば、汚染水を二次処理しても、トリチウムのほか、炭素14など多くの放射性物質が含まれているという。これについて、国連有害廃棄物特別報告者のマルコス・オレジャナ(Marcos Orellana)氏、国連食糧の権利に関する特別報告者のマイケル・ファクリ(Michael FAKHRI)氏、国連環境と人権特別報告者のデイビッド・ボイド(David R. Boyd)氏は「ALPSのこれまでの実績は、核汚染水から放射性物質を完全に除去できないことを示しており、二次処理でも完全に除去できる保証はない」と共同で指摘していた。
昨年4月に日本政府が福島の汚染水の海洋放出という誤った決定をして以来、国際社会および日本国内の人々の疑問と反発は止まらない。また、汚染水の海への放出案の正当性、日本のデータの信頼性、浄化装置の有効性、環境影響の不確実性などについて多くの疑問を提起した。国際原子力機関(IAEA)は技術作業グループを立ち上げ、2度にわたって日本で実地調査・評価を行ったが、いまだに日本側の海洋排出案について結論的な意見を出しておらず、同時に多くの明確化要求と改善意見を提出している。
残念なことに、日本側は終始、国際社会と日本国内の民衆の正当な関心と合理的な要求に耳を貸さず、利害関係者と関係国際機関と十分に有意義な協議をしていないばかりか、逆に独断で海洋排出パイプラインの建設と海洋排出計画の審査・認可作業を推進している。日本が国際公共の利益よりも自分たちの私利を優先しようとするのであれば、無責任な行為の代償を払うことになるだろう。(日本語部論説員)