【CRI時評】バイデン米大統領の中東歴訪、中国を巻き込むのは的外れ

2022-07-12 10:45:14  CRI

 バイデン米大統領は今週、イスラエル、パレスチナのヨルダン川西岸、サウジアラビアを歴訪する。大統領就任後初めてとなる中東歴訪について、9日付の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で、米国の安全保障にとって「極めて重要」と述べるとともに、「中国との競争に勝たなければならない」と強調した。

 バイデン氏は寄稿で、中東歴訪の動機を壮大に「飾り付け」しようと努めたが、米CNNは、いかなる言い分でも「ロシアとウクライナの衝突が世界の石油市場に混乱を引き起こしていなければ、米国の大統領が中東を訪問することはない」という事実を覆い隠すことはできないと直言した。

 原油価格の高騰や40年ぶり高水準のインフレ、米国人のリセッション(景気後退)入りへの懸念と、中間選挙を前に、バイデン政権は山のように大きな圧力を受けている。米オンライン世論調査会社シビックスによると、9日時点で、バイデン氏の支持率の平均値は30%を割り込み、史上最低の水準まで下がっている。米誌フォーリン・アフェアーズの分析によると、局面転換の鍵を握っているのが、石油市場を安定させるのに十分な余剰生産能力を備えた唯一の産油国であるサウジアラビアだ。

 バイデン氏の中東歴訪の主な狙いはサウジアラビアの増産と関係修復であるのに、なぜ中国を巻き込もうとするのか。

 米国内の政治について言えば、ワシントンの政界には現在、反中が最大の「政治的正しさ」という一種のねじれ現象が出現している。「中国との競争」に言及することが、注意をそらしサウジアラビア訪問を弁護する手段となっている。

 それは単なる言い訳ではなく、バイデン氏が寄稿で述べているように、ロシアに対抗し、中国との競争に勝つためには「結果に影響を与える可能性のある国と直接関わる必要がある」。このことは、米国が中東を中国やロシアとの戦略ゲームの舞台と見なしていることを示している。米国が北大西洋条約機構(NATO)の「グローバル化」を推し進める中、中東もそのグループ政治のレーダーの中に取り込まれている。米国が中国に対抗するために「中東版NATO」創設を試みていることは明らかだ。

 だが米国式覇権のために自らの利益を放棄して駒になろうとする国などなく、米国が「片手で天を遮った」時代はもはや過去のものとなっている。(CRI論説員) 

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