【CRI時評】米国の「インド太平洋戦略」に冷や水

2022-06-29 10:21:07  CRI

 ネパールの内閣はこのほど、米国との「州パートナーシッププログラム(SPP)」協力の推進停止を決定した。この決定について、ネパールの各党派と軍が「SPPに加わることはネパールの国益にかなわない」との認識を示し、この議題を巡る話し合いを「永久に終結させる」必要があるとの立場で一致したことが注目された。ネパールの決定は米国のいわゆる「インド太平洋戦略」が頓挫したことを意味するとの分析もある。

 SPPとは、1990年代に始まった米各州の州兵と協力パートナー国との間の交流プログラムのことで、その目標はソ連崩壊後の関係国による国防力「改革」への支援だが、実態は米国の軍事力を他国に浸透させるための名目だ。

 このほど公開されたネパールと米国のSPP協力草案によると、その中核的な内容は、ネパール高原で合同軍事演習を実施することや、米国の準軍事組織である州兵が制限を受けずにネパール国内に入りインフラ整備をすること、米国がネパールに対テロ情報および軍事装備を提供することなどで、軍事的色彩を帯び、ネパールの内政に干渉する明確な意図があることに容易に気づくだろう。ネパールの内閣がSPPの推進停止を決定したことは、ネパールの国益だけでなく、ネパールが長く守り通してきた「非同盟」「バランス外交」にもかなうものだ。

 ヒマラヤ南麓にあるネパールは、中国やインドと国境を接し、地政学的に極めて重要な位置にある。外部では、米国が近年のネパールの政治情勢の変化を利用して同国の政治や安全保障問題への干渉・浸透を強め、親米勢力として育てているとの分析もある。

 踏み込んで考えると、米国がネパールを自分側に引き込むことは、中国に対する全体的な戦略的配置に奉仕するものだ。ネパールへの圧力、南海を巡る議題での挑発、そして最近の「インド太平洋経済枠組み」の発足に至るまで、米国はあの手この手で中国の周辺に「地雷を埋め」、アジア太平洋の国に米国の覇権のお先棒を担がせようとしている。

 ネパールの今回の決定は、米国の「インド太平洋戦略」に冷や水を浴びせるものであり、そしてそれは始まりにすぎない。一部の国が国益に基づき理性的な選択をするにつれて、米国が押し売りする「インド太平洋戦略」は早晩、破綻をきたすことになるだろう。(CRI論説員)

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