【CRI時評】「モンロー主義」は支持されない

2022-06-07 10:20:06  CRI

 「今回の米州首脳会議は中南米地域における米国のリーダーシップ衰退の兆候となるかもしれない」。これはメキシコのあるメディアの評価だ。第9回米州首脳会議は6日から米ロサンゼルスで開催が予定されている。しかし、開催前に米州の多くの国の首脳が批判もしくはボイコットを表明したり、米国がキューバ、ベネズエラ、ニカラグアを会議に招待しないとの最終決定を下したことのいずれもが、この米国主導の地域サミットが「雑談」に成り下がることを示唆している。

 米国務省は今年4月、いわゆる「民主の問題」を理由にキューバ、ベネズエラ、ニカラグアの首脳を会議に招待しない意向を明らかにし、中南米諸国の強烈な反発を引き起こした。メキシコやボリビアなどの首脳は早くから、米国が米州の全ての国の首脳を会議に招待しない場合は出席を見送ると表明していた。先ごろ開催された米州ボリバル同盟(ALBA)第21回首脳会議は声明で、米国がサミットの機会を利用して一部の中南米とカリブ海の国に対し排他的・差別的なやり方をしていると強く非難した。

 中南米の国々がこれほど激しく反応するのは「米国に長い間苦しめられてきた」からだ。米国が1823年に中南米をコントロールすることを狙った「モンロー主義」を提唱して以来、中南米諸国は、米国による軍事介入や政治的操作、制裁、輸出インフレに苦しめられてきた。

 米国が今回、米州首脳会議を主催する機会を利用して「言うことを聞かない」中南米の左翼国家を抑圧しようとしていることはまさに、米国の思考の中に今なお「モンロー主義」があることを示す最新の例だ。

 メキシコの国際問題専門家、ハビエル・レイジェス氏は、米国が「サミットを利用して覇権を強化している」と批判している。こうしたやり方は、一体化を模索する中南米諸国の願いに反するものであり、激しい反対に遭うことは必至だ。

 また、今回のサミットを利用して中国を巡る問題において中南米諸国を仲間に引き入れたり圧力をかけたりする米国の読みは外れるに違いないとの分析もある。中南米地域にとって急務は経済の回復であり、地政学的対抗ではない。コロンビアのドゥケ大統領は先ごろ、米メディアの取材に応じ、中南米への中国の投資が「脅威」だとは「思わない」との考えを示し、中国と共に中南米での戦略的インフラへの競争入札を強化するよう米国に呼びかけた。

 米州は「米州人の米州」であり、「米国人の米州」ではない。今回の米州首脳会議が批判とボイコットの声の中で開催される最大の意義は、ベネズエラのベテラン政治アナリスト、フェルナンド・リベロ氏による「米国の一極覇権の終焉(しゅうえん)」という判断を検証することにあるのかもしれない。(CRI論説員)

 

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