北京
PM2.577
23/19
日本を訪問中の米国の指導者は23日、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の始動を宣言したが、サプライチェーン(供給網)における中国とのデカップリング(切り離し)を鼓吹し、米国市場参入の関税を引き下げないことを明確にしたのを除けば、内容の大部分はあいまいではっきりしない。もともと米国による「ぬれ手で粟(あわ)」の計略でしかないとの分析もある。
IPEFはそもそも動機が不純で、中国に向けて「カスタマイズ」したようなものであり、実質的には、米国による排他的な経済の「小サークル」、地域における経済覇権を維持するための政治的な道具であり、関税の減免や市場の開放を特徴とする自由貿易協定では決してない。こうした「偽多国間主義」が地域にもたらすのは分裂と対抗だけであり、米国側が主張するような自由、開放、繁栄ではない。
米国がIPEFの内容について詳しく説明しないのは、アジアの国々と互恵的なビジネスをするつもりは毛頭ないからであり、心中で考えているのは、いかにグループに引き込んで、技術的優位性を集め、経済覇権を強化し、中国を包囲・抑圧するかだ。アジア太平洋の多くの国が「協力の形態と機能がはっきりしない」「米国が求めるものは多いが、与えるものは少ない」「持続性が問題だ」などと疑問視している。
さらに重要なのは、地域の国々が、米国が「グループから脱退し、約束を破る」ことを懸念し、「信用の赤字」の解消は難しいということだ。数年前、米国主導の環太平洋パートナーシップ(TPP)協定は、複数回にわたる交渉を終えていたものの、米ホワイトハウスが主人を交代したために米国自身によりほごにされた。米国内で両党が激しく争い、政治が分極化する中、米国政府には、体制上の痼疾(こしつ)を克服してIPEFの着地を保証する気力はあるのだろうか。
米国の企ては中国に向けられたものだが、どんなに悪知恵を絞っても、地域発展の前途を左右することは不可能だ。アジア太平洋は、協力と発展のホットスポットであり、地政学の碁盤ではない。米国が強行するIPEFは、新たな火種を作るたくらみであり、経済のデカップリングや技術の封鎖、産業チェーンの寸断を人為的に作り出し、地域の根本的利益を損なうことになるだろう。(CRI論説員)