【観察眼】益者三友 損者三友 日本にとって米国はどんな友か?

2022-05-23 16:47:28  CRI

 バイデン米大統領の初となるアジア外遊は、就任後16ヶ月が経ってようやく実現した。訪問先は2カ国のみ——韓国と日本だ。しかし、これまでの慣例とは異なり、初の訪問先には日本ではなく、韓国が選ばれた。これについて、韓国メディアは「韓国の新大統領就任後、最も早く行われた韓米首脳会談だ」と興奮気味に報道し、日本ではネットユーザーたちが「韓米同盟は日米同盟よりも重要なのか」と不満をこぼしている。

 日本のネットユーザーたちが納得できないのも理解できるが、一言だけアドバイスすると、あまり気にしないことだ。米国をめぐって韓国と張り合う必要がどこにあるのか。はっきり言って、今回の外遊の目的は仲間への引き込みと「資金調達」だ。先にどっちに声をかけようと、大して変わらない。

 そんなバイデン大統領の旅だが、初日からトラブルの連続のようだ。米CNNの報道では、シークレットサービス(大統領警護隊)の職員2人がソウルで夕食後、タクシー運転手や韓国人2人とタクシー料金をめぐって口論になり、最終的に警察沙汰にまで発展した。捜査の結果が出る前に、この2人は休職処分を下され帰国した。シークレットサービスの報道官はこの件について、「行政上の人事に関する問題であるため、これ以上コメントする立場にない」と、説明を打ち切った。せっかくの大統領訪問だが、米国はどうやら韓国から空気を読んでもらえていないようだ。

 空気を読めないといえば、米国の株式市場もそうだ。バイデン大統領の外遊初日、高値で始まった米国の株価は急落してしまった。どうやら、投資家たちは韓国での「資金調達」に期待を寄せていたようだが、韓国が出せる資金に限りがあると分かったことで、失望感が出たようだ。米国が日本より先に韓国を訪れた理由は分かった。急激な円安で20年ぶりの1ドル130円となった日本が、米国のためにどれほどの犠牲を払ったのか、米国の政治家はよく分かっているはずだ。

 トラブルはまだ続く。バイデン大統領は、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)新大統領と共にサムスン電子の半導体工場を訪問し、「サムスンの半導体チップは世界でもトップレベルだ」とほめ、サムスンが米テキサス州テイラー市に新設する最先端の半導体工場は米国に3000以上の雇用を創出すると賞賛した。そこまで持ち上げたにも関わらず、工場見学後の記者会見で、バイデン大統領は尹大統領のことを前大統領の文在寅(ムン・ジェイン)と呼び間違えてしまった。実に気まずかったことだろう。

 80歳近いバイデン氏の言い間違いに、もはや驚くことはない。「プーチン氏がロシアに侵入した」と発言したり、アフガニスタン、ウクライナ、イラクのことを頻繁に言い間違えた前例もある。おそらく、米国の政治家からすれば、イラクもウクライナも、尹大統領と文前大統領も同じで、どうでもいいと思っているのだろう。ただし、米国がサムスンへ抱く想いは確かなものだ。1980年代、米国は自らサムスンやTSMCを支援して最盛期の日本半導体産業を崩壊させている。これがなければ、日本は失われた30年を経験せずに済んだかもしれない。

 ところで、バイデン大統領には、韓国訪問においてもう一つ、重要なタスクがある。米議会上院は今月19日、ウクライナを緊急支援するための約400億ドル(約5兆1000億円)の追加予算案を超党派で可決した。CNNの報道では、バイデン大統領が訪問先の韓国でこの予算案に署名を行うとのことだ。

 ウクライナへの緊急支援について、なぜ、わざわざ訪問先のアジアで署名するのか。その目的は明らかだ。訪問先の同盟国に見せつけ、米国に追随して資金を出してもらうためだ。

 共同通信の報道では、 岸田文雄首相は16日、ウクライナの国民的歌手チーナ・カーロリさんと首相官邸で面会し、「これからもウクライナを支援し続ける」と約束した。また、ドイツで開かれているG7(主要7カ国)の財務相・中央銀行総裁会議に出席中の鈴木俊一財務大臣は、日本としてウクライナの教育や医療を支援する意向を示し、G7は2022年中にウクライナに対して198億ドル(約2兆5000億円)の財政支援をすることを明らかにした。

 ツイッターでは今、米国人たちが「ウクライナがもうすぐ戦争に勝利するのであれば、なぜ政府は私たちの400億ドルを拠出するのか」と疑問をつぶやき、東南アジアのネットユーザーらは「バイデン大統領はウクライナに400億ドルの支援をするのに対し、ASEANの開発支援には1億5000万ドルを拠出しただけだ。これは侮辱ではないか」と訴えている。そんな中で、一部の日本人と韓国人は、米大統領の外遊先は韓国が先であるべきか、日本であるべきかと、口論を続けている。

 急激な円安進行、物価上昇の加速、30年間も増えていない賃金、資源もエネルギーも乏しく、37%までに低下した食料自給率……景気悪化がこれまで進行しているのに、日本政府は他国に脅迫されて大金をばらまき、外国の紛争に介入しようとしている。それは国民のためになるのか。

 米AP通信のNORC公共問題研究センターが現地時間20日に公開した世論調査の結果では、バイデン大統領の支持率は5月に39%に下落し、就任後の最低を記録した。また、民主党内で「わが国の発展方向は正しい」と思う回答者は33%にとどまり、4月の49%より16ポイントも下落している。これは、インフレ、銃暴力、粉ミルクのリコール事件による品不足、コロナ感染症のまん延など、次から次へと終わらない苦境に晒されていることによる、政府に対する米国民の失望・不満・憤りを反映しているとAP通信は報じた。

 全米における粉ミルク不足で国防生産法まで発動した国のトップ政治家は、他国への内政干渉に夢中になり、自身の政治資金のために国民の生命と利益を賭けている。そして、欧州ではロシアを困らせながら欧州諸国をコントロールしようと企て、アジアでは同盟国を利用して混乱を巻き起こしているのだ。

 世界ナンバーワンと自慢する米国は、いつも同盟国への安全保障を口にしているが、これは同盟国を操る常套句に過ぎない。米国の目には、友人の姿など映ってはいない。あるのは利益だけだ。「同盟国」とは、米国の利益につながる手駒なのである。

 元米国務長官キッシンジャーの言葉が思い出される。「米国の敵になることは危険かもしれないが、友人になることは致命的である」。最後に、日本の皆さんには『論語』に記された孔子の言葉をお伝えしたい。「益者三友、損者三友(えきしゃさんゆう、そんしゃさんゆう)」。この世には利益をもたらす3種類の友と、害をもたらす3種類の友がいる。害をもたらす友とは、体裁を取り繕う者、人あたりは良いが誠実でない者、口先だけの者のことだ。友人は慎重に選ぶべきだ。(CRI日本語部論説員)

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