北京
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新暦4月20日頃は二十四節気の一つ、穀雨に当たります。穀物を育てる雨を意味する節気。この時期は、前年の秋に蒔いた麦の成長を促す春の雨が降り、清明の頃に蒔いた籾が稲に育っていく頃です。農耕にかかわる人々にとって穀雨の時期の雨は恵みの雨です。しかし急速な都市化の今日で、これらの節気に関する文化は多くの若者に忘れられているように思います。それでは今日の中国メロディーは美しい音楽に伴なって谷雨に関連する文化と習わしをご紹介しましょう。
春に別れを告げ、明るい日々に向かって旅立つ
穀雨とは、春の雨が全ての穀物を潤す時期です。穀雨は春の季節の最後にあたります。その頃は季節的に種まきや育苗のために雨が必要な時期です。葉に、野に、雨粒が玉のように軽やかに落ちてきます。細かい雨が降り続く中、春が暮れ、夏が近づいていきます。人々が幕を閉じる華やかな春に未練を残しても、春は立ち去る足をとめません。
穀雨が過ぎれば寒さもなくなり、夏の華やかなステージが幕を開け、セミの鳴き声や蛙の鳴き声など、自然のコンチェルトの中で、さまざまな美しい音楽が生み出されていきます。それでは、美しい歌声の中で春に別れを告げ、明るい日々に向かって旅立ちましょう。
穀雨の花
穀雨のころは日差しが暖かく、雨が多く、牡丹の咲くころです。さまざまな品種の牡丹が華やかさと美しさを競うため、「穀雨の花」とも呼ばれています。
中国では古来、穀雨の時期に牡丹を見る習わしがありました。中国最古の詩歌集『詩経』に、牡丹や芍薬を愛の言葉として用いた詩句があります。唐の時代には牡丹を詠んだ詩も多く、中でも名詩人李白が楊貴妃のために書いた七言絶句「清平調」は最も有名です。その後、牡丹の賛美は文人墨客にも好まれるようになります。
希望の種をまいて、収獲の喜びを期待
穀雨は古くから農業生産の重要な節気とされてきました。漁師にとって穀雨は海祭りの日です。中国のことわざには「穀雨が過ぎると多くの魚が接岸する」というものがあります。漁に出て無事に帰れるように、穀雨の日に漁師たちは海祭りを行い、神様の加護を祈ります。この風習は今でも山東省の一部の地区に伝わっています。
一方、農家にとって穀雨は種まきの季節です。中国北方の地方では「穀雨の前後に種をまき、苗を植え、瓜や豆を植えるのに最適な時期」ということわざがあります。春から夏にかけての万物の生長の季節、農家たちは希望の種をまいて、収獲の季節に幸せな喜びが訪れることを期待しています。
番組の中でお送りした曲
1曲目 二十四節気歌之谷雨(二十四節気の穀雨)
四季の移り変わりや先祖たちの勤勉と知恵を子供たちに教えてくれる曲です。
歌詞:
春風が吹かないと花は咲かない
田に水がなければ苗は植えにくい
大地が暖かく穀雨が降る
暮春が過ぎて夏が来る
2曲目 牡丹之歌(ボタンの歌)
牡丹にかかわる歌といえば、「牡丹之歌(ボタンの歌)」が最も親しまれています。この歌は1980年代の映画「紅牡丹(赤いボタン)」の挿入歌で、牡丹の品格を賛美し、勇ましく前に進もうと人々を励ましてくれます。
3曲目 谷雨(穀雨)
歌手楊蔺さんの温かい歌声が春雨のように人々の心を癒してくれます。
歌詞:
食事の後、庭に座って
親友とお酒を飲む
あなたや私の話をしている
耳元でしきりに蛙の鳴き音がする
悠々自適 歳月の流れを忘れる