北京
PM2.577
23/19
ウクライナに対する軍事行動を開始して以来、ロシアは国際的に困難な境遇にある。米国や欧州は、政治・経済・文化など多くの角度から異例とも言える強さの対ロ制裁で圧力をかけている。一方、アジアの国々は、自主・客観・公正の立場に基づいてロシアとウクライナの衝突に対処することを望み、善悪や是非を問わずにひたすらロシアを非難して制裁を科したり、人権問題を利用してロシアに圧力をかけたりすることに反対する声が一般的だ。アジアの国の中で、対ロ制裁を発表したのは日本とシンガポールだけだ。特に日本は、自らの地政学的優位性を利用して、東南アジア諸国に頻繁に影響を及ぼし、東南アジア諸国が日本と同様に米国や欧州による対ロ制裁の「軍艦」に同乗することを望んでいる。
岸田文雄首相がインドとカンボジアを突撃的に訪問したのは、そうした目的のためだ。日本メディアによると、岸田首相がインドに自ら出向いたのは、ロシアとの伝統的な友好関係およびロシアとウクライナの衝突におけるロシア寄りの立場を鑑みて、米国や欧州と足並みをそろえて対ロ包囲網に加わるか、少なくともロシアと距離を取ってロシア支持をやめるよう説得するためだった。岸田首相はそのために今後5年間でインドへ5兆円を投資することや、円借款3000億円を供与することさえ約束した。これほど大規模に投資をするとは、日本政府も、自国経済が満身創痍の中で、インドを引き込むために必死なようだ。
日本政府がそのような動きをした意図を推測せずにはいられない。その原因を理解するのは難しくなく、三つある。まず、日本は米国の外交政策に全力で追随させられている。日米同盟は日本の外交政策の核心だ。米国が表に立つのに都合が悪かったり、構う時間がなかったりした場合、日本政府は自らの責務を当然引き受けなければならない。特にロシアとウクライナの衝突のような大きな事件に遭遇し、西側世界全体がロシアに向かって声を上げる中、日本政府も存在感を示す好機を逃したりはしない。
二つ目は、包囲網に加わるという大胆な行動で領土問題における主導権を握ることだ。北方領土問題は、日本政府の心に刺さったとげであり、容易に癒せない痛みだ。日本は長い間、この問題におけるロシアとの交渉で繰り返し行き詰まっており、好転は難しい。今回、堂々とロシアへの制裁を打ち出したのは、一つはうっぷんを晴らすためであり、もう一つはこの機会を利用して日本はくみしやすい相手ではないことをアピールし、今後のロシアとの領土交渉のために、カードや気力をいくつか得ておきたいためだ。
三つ目は、この機会を利用して自らの影響力を拡大し中国をけん制することだ。中日関係が現在、不和な状態にあるのは争いようのない事実であり、重要なのは、中国の力の高まりが、日本に危機、さらには脅威さえも感じさせているということだ。こうした見方は、日本の各界に深く根付いている。対ロ制裁に積極的に加わるのは、形を変えて中国に対し、日本には多くの仲間がいて、力も強く、手段も多く、ひどい結果がもたらされることを見せつけることだ。だが中国は、どんな抵抗に直面しても発展を続ける運命にある。日本が終始、こうした認識に基づいて両国関係に対処し、筋肉を自慢しても、害あって利なく、中日間の矛盾の解消をますます難しくするだけだ。
日本の外交政策は、エリートらが慎重に検討判断し、利害をはかりにかけた上で打ち出されたものであり、日本側から見れば、自らの利益に最もかなうものなのかもしれない。だが、「遠くの親戚より近くの他人」という中国のことわざにあるように、隣人の重要性は言うまでもない。どのような考えから出たものであれ、隣国、特に隣国の中の大国との関係を悪化させる動きは危険であり、良い結果になるとは言い難い。(CRI日本語部論説員)