【観察眼】戦場で多くの血が流れる中、金勘定をしているのは誰か

2022-04-11 11:38:11  CRI

 ロシアとウクライナの衝突が続き、兵士が虐殺され、無辜の一般市民が死亡し、死傷者が増え続けている。その一方で兵器ビジネスで稼ぎ、「シャンパンで祝う」人もいる。誰が不義のお金を稼いでいるのか。軍事工業複合体(MIC)を挙げざるを得ない。

 1961年にアイゼンハワー米大統領が別れの挨拶で、米軍、兵器メーカー、政治家、シンクタンクなどを結ぶ「軍事工業複合体」に初めて言及した。このほど提出された米国の2023年度の国防予算案では、総額が8130億ドルに達し、昨年の予算より4%近く増加した。これは米国防予算の中で史上最大の増加幅になる。米国では、民主党員ではなく共和党員が国防予算の増加をより重視するとみられるが、今回の大幅な増加は、バイデン大統領の任期中に起きた。莫大な国防予算が最後に誰の財布に入るのか、その背景にMICの影響は無視できない。

 事実上、MICに拉致された米国は戦争機械になっている。昨年終わりを迎えたアフガニスタン戦争を例にとると、20年の戦争では出費が2兆ドルを超え、2020年通年の米国内総生産(GDP)に相当する。米軍は2500人近くが死亡し、2万人以上が負傷した。アフガニスタン側は戦争で累計3万人以上の民間人が死亡し、6万人以上が負傷した。しかし、多くの死傷者が出た一方で、巨額の富を儲けた人もいる。この20年に、Northrop Grummanの株価は8.8倍、ロッキード・マーティンは834%、ボーイングは4.39倍、ゼネラルモーターズは422%と、兵器メーカーの株価は目を見張るほど上昇した。米国はアフガニスタン戦争で勝っていないものの、兵器メーカーは勝利を収めた。

 また米国は世界トップの兵器輸出国である。2017~21年までの5年間には米国の対外兵器輸出は前の5年間より14%増加した。2021年に米国の兵器輸出額は106億ドルに達し、輸出対象は世界各地に広がり、世界の平和と安定にとって大きな隠れた危険をもたらした。原子力潜水艦をオーストラリアに売却し、アジア太平洋地域の情勢を脅かす。台湾に武器を売って、海峡両岸の統一を阻害する。中東地域に武器を売って、情勢をさらに混乱させる。他国の矛盾と衝突はむしろ金になるチャンスである。

 ロシアとウクライナが2月27日に交渉を行った当日、米国は初めてウクライナに「Stinger」防空ミサイルを直接輸送することを承認した。『ニューヨークタイムズ』によると、ロシア・ウクライナ戦争が始まってわずか1週間で、米国はウクライナに1万7000発近くの「Stinger」防空ミサイルと「Javelin」対戦車ミサイルを提供した。約18人の米議会議員とその夫人らが「Stinger」と「Javelin」ミサイルを製造する会社の株式を保有しているという。そのうち、Raytheon とロッキード・マーティンは数十億ドルに達する巨額の利益を得る見通しだ。

 「私たちがいなければ、米国は戦争を起こすことができない」と主張したゼネラルモーターズのノワコビッチCEOは、「今年は非常に良いスタートである。人類にとって世界はますます危険になっているが、需要の安定した良好な信号がみられ、注文は良好なリズムで成長し続けるだろう」と話している。米国の工場で生産している砲弾は将来、誰の夫、誰の息子の頭を撃ち抜くことになり、ウクライナでの惨劇はいつまで続くのだろう。

 皮肉なことに、武器屋は世論の操作が巧みであり、世界で平和を守る偽のイメージを作り続けている。この「化けの皮」が一日も早く剥がれ、世界に本当の平和が訪れることを願うばかりである。(CRI日本語部論説員)

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