【観察眼】企業の存続は合理的な意思決定と切り離せない

2022-04-07 22:46:02  CRI

 ロシアとウクライナの衝突勃発以来、世界経済は巨大な圧力を受けているが、日本の一部の上場企業の株価が逆に異常に高騰している。その理由の一つとして、これらの企業が中国市場でのプレゼンスを高めることで危機に対応しようという戦略が市場に認知され好評を得ているからだという分析がある。

 半導体製造設備部品メーカーのフェローテックがその内のひとつだ。フェローテックの中国子会社は先日、新工場建設のために投資家から5億元の出資を受けた。フェローテックはこの他にも、傘下の中国子会社4社を3年以内に中国の上海証券取引所と深セン証券取引所に上場する計画だ。「日本経済新聞」は、いかなる日本企業もこれまでに4社の子会社を中国本土の証券取引所に上場したことはなく、フェローテックはその先鞭をつけることになると驚嘆している。

 この報道はまた、仮に中国がウクライナ危機に際してロシアを支援した場合、制裁を受けることになり、それが中国市場に一抹の暗い影を落としているが、日本の株式市場はフェローテックがさまざまな障害を乗り越えて打ち出した中国戦略を熱狂的に支持しているとも報じている。

 現在、世界は新型コロナウイルス感染症とロシア・ウクライナ紛争のダブルパンチを受けており、世界経済の後退傾向は避けられず、不況に陥る兆しがいよいよはっきりしてきたとさえ言って良い。原油・ガス価格の上昇、食糧や原材料価格の上昇、輸送の停滞、サプライチェーンの混乱などによって、スリランカやレバノンなどの国々は既にこの数十年来で最も深刻な経済危機にひんしている。仮にロシアとウクライナの衝突がエスカレートし、新型コロナウイルス感染症の影響が広がれば、こうした局面はいままさに始まったばかりで、最終的にはほとんどの国が免れることはできず、ただでさえ困難な世界経済にさらに拍車を掛け、取り返しの付かない損失をもたらすに違いない。

 「日本経済新聞」は、日本企業がこうした複雑な背景の下で、引き続き中国で業務展開することの重要性を真剣に検討しだしたことに注目している。QUICK FactSetが発表したデータは、日本の株式市場で時価総額のトップ100に入る企業の内、売上総額の1割以上を中国で上げている企業が41社あることを示している。安定し巨大な潜在力を持つ中国市場は日本企業にとって平時には経営発展の打ち出の小づちであり、危機にひんした際には貴重な避難場所だ。

 現在、世界情勢の変化はめまぐるしく、経済は予測しがたい方向に進んでおり、日本を含めた各国の多くの企業が生きるか死ぬかの数々の試練に直面している。企業にとっての最優先事項は生き残る道を探すことであり、企業の存続はまた、多くの従業員の家族の幸福と社会の安定に関わることだ。一部の国が市場経済の資源配置と公平な競争の基本ルールを破壊し、何かにつけて経済制裁という脅しを振り回し、企業を生死の淵に追いやるのを省みず、どちらの側に付くかを迫り、自他共に傷つけることは人の道に外れるばかりか悪であるとさえ言える。フェローテックのような賢明な企業がさらに多く現れて、企業の発展と社会安定に有利な理性的な選択をすることが望まれる。(CRI日本語部論説員)

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