EUの要求したIAEA・国際原子力機関の理事会は9日、ウィーンで緊急会議を開き、イラン核問題を討議しました。今回の緊急会議でどのような決定が下されるか世界の人々は注目しています。
この緊急会議は9日の午前行わる予定でしたが、EUが決議草案を用意していなかったため、午後に行われました。
この会議が行われた後、理事会35ヶ国の間で意見の食い違いが出てきました。IAEA理事会の議事日程によりますと、会議の決議が全会一致で可決するのを原則としています。そのため、IAEAのエルバラダイ事務局長はこの緊急会議が10日の午後再び開かれると発表しました。各国代表は休会の時間を利用して個別協議を行うことができます。アナリストは、「EUの出した決議草案がイランに強硬な態度を示すなら、一部の発展途上国に反対される可能性がある。各方面が受け入れられる決議草案をまとめることには協調姿勢が必要だ」としています。消息筋の話によりますと、緊急会議が再び延長される可能性もあります。
イランはEUが8月5日に提出した包括案を拒否し、また、8日に一部のウラン加工活動を再開したと発表したため、これまでに解決できなかったイラン核問題はもっと複雑になりました。現状から見れば、イランと西側諸国との間の対立はなかなか調和が取れないようです。イランからみると、遠隔式ウラン濃縮技術を掌握するため、20年にわたって、ウラン濃縮施設の開発に大量の資金を投入してきました。現在、これらの施設が工業生産のレベルに達しました。今年4月の末、イランはEUを代表するフランス、ドイツとイギリス3ヶ国に「最後の妥協案」を渡し、その中で、「少なくとも、ナタンズにある小型ウラン濃縮基地を保留し、そこでウラン濃縮活動を再開する」と要求しましたが、これに対して、専門家は、「譬え、技術的角度だけから見れば、イランはウラン濃縮計画をあきらめない」と見ています。
しかし、EUとアメリカは、「イランのウラン濃縮計画をその核兵器開発の一部とみて、イランがナタンズにあるウラン濃縮施設を完成すれば、いつでも「核兵器拡散防止条約」から脱退することができる。イランはこの施設で加工された低濃縮ウランを原料にして、核兵器級の濃縮ウランをすばやく生産することができる」としています。そのため、EUとアメリカは、イランがウラン濃縮のすべての設備を取り壊し、ウラン濃縮計画を停止するよう要求し、これはイランが核兵器を求めない客観的保証だとしています。言い換えれば、ウラン濃縮の問題で、イランと西側諸国は対立し、交渉は行き詰まっています。
IAEA理事会のメンバーはイランが自主的にウラン濃縮活動を行う権利があるかどうかについては、異なる見解を持っています。伝えられるところによりますと、緊急会議で、マレーシア代表はイランの立場を支持すると発表しました。この代表はその際、「核活動を行うことと核兵器拡散の防止を承諾することは異なる2つのことだ。はっきりと区別しなければならない。各国は平和的な核エネルギー利用の権利を奪われないことだ」と述べました。
IAEAのエルバラダイ事務局長は9日の会議の開幕式で、「現在の状況があくまでもエピソードであり、徹底的な破裂ではない。イランがウラン濃縮活動を自動的に停止する立場に戻るよう」呼びかけました。
国際アナリストは、「今回の会議はイラン核問題を国連安保理に提出することなく、イランに警告を出す可能性がある。イランとEUの態度から見れば、双方は討議を行う余地を残している」としています。
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