ドイツ人の・バナードさんは北京のある建築会社に勤めているエンジニアです。ベルリンから北京に来たばかりで、部屋を探しているところです。何故このフートンでアパートを選ぶのかを聞きますと、次のように答えました。
「ここは非常にいい場所だと思います。見た目には古ぼけて見えますが、部屋の中は改装されていてすごく便利です。そして、歴史の古い庭は閑静で清潔で草花も植えられています。大人は庭でおしゃべりし、子供たちは遊んでいいます。このような風景は、ドイツではもうめったに見られなくなりました。フートンは北京の代表的な建物で、今までに残る北京の歴史の一部だと思います」
いま菊児フートンに住んでいる200世帯のうち、40世帯は外国人です。それぞれは、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、イスラエルなどからの人で、職業はサラリーマン、ジャーナリストなど様々で、留学生やアルバイターもいます。
孫褒瑞さんはイスラエルからの記者です。中国の友人から中国語名をつけてもらいました。孫さんは7ヶ月前に北京に来て、北京のある英字新聞のフリーライターとして勤めています。
孫さんは友人の紹介で菊児フートンのことを知ったのです。北京に来てすぐにフートンが好きになった孫さんは、ここの部屋を借りて住んでいます。中国語は流暢ではないですが、隣の人々からいつも熱心に声がかかります。隣人は、素直な方々が多いから、住んでいて楽しいそうです。
「ここの住民は親切な方ばかりで、いつも笑顔で付き合ってくれます。中国語は余りしゃべれないですので、いつも難しい言葉を避けて会話をしてくれます。心を開いて私たち外国人と付き合ってくれるので、うれしいです。この雰囲気が、ここのフートンが気に入った理由じゃないかと思います。」
孫さんは暇な時に、フートンにある小さなカフェーに通います。このカフェーの若いウェーターはコーヒーの作り方に工夫を重ねて、本場のものに近い味を提供してくれます。とりわけ、ここのチーズケーキが最高だと孫さんは言います。この小さなカフェーに漂う静かで暖かい雰囲気は、家庭の一家団欒のようだそうです。
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