鄭さんとおしゃべりをしているところに、近くで犬が鳴き続けています。
「この犬は利口なんだよ。知らない人の声がするから、鳴き続いている。どこへ行っても犬を連れて行く。俺の見張り番なんだ。犬がいると、寝ていても安心する。実は、養蜂家は狙われるだけのものはないから、どこにいても泥棒の心配はほとんどない」
人柄が優しいため、蜂を飼う地元で友たちを作るのも鄭さんの得意なことです。ちょうど友人が訪れて来ました。
「親戚の方ですか」
「いいえ、友人です。鄭さんは俺の兄貴のような人です。」
「この兄貴はどうですか」
「とてもいい人ですよ。頼れる人なんです。勤勉で、苦労を耐え忍べる人です。」
傍らにいる鄭さんは友人の評価を聞いてうれしくもあり、照れくさそうにも見えます。
鄭さんは4人家族です。家では農業をする奥さんに、すでに嫁へ行った娘さんと大学に通っている息子さんの二人の子供がいます。家族の収入は鄭さんの養蜂に頼っています。
「金持ちにはなかなかなれないけど、でも、満足している。蜂のおかげでお金を稼げた。94年に家を建てるため8000元ぐらい借金をした。ちょうどその年、蜂蜜をたくさん採れたので、一気に借金は返した。そして、03年に息子が大学に受かった。ちょうどその年は最も多く蜂蜜が採れた。20数年、養蜂を続けているが、その年は蜂蜜が最も多く採ったさ。学費に手が届くかどうか心配していたけれど、ちょうど蜂蜜が採れたので、大丈夫だった。」
大学に通っている息子は学費のほか、毎月1千元ぐらいの食事代や交通費が必要ですが、それも蜂蜜の収入で賄っています。ですから、鄭さんは蜜蜂を自分の子供のように可愛がって大切に飼っています。
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