「蜜蜂は熱心に世話をしなければならん。一年のうち11ヶ月は世話を見てあげるが、蜂蜜を採ってくれるのはこの一ヶ月だけ。ひもじい思いをさせてはいけないし、寒いときは保温をし、暑いときは日陰の涼しい場所に蜂巣を移す。成長に似合った環境を常に保つことに気をつけるんだ。」
鄭さんは60箱ぐらいを持っています。これはこれまでの最高だそうです。子供が高校や大学に通い、教育費がかかるので、蜜蜂の箱の数を増やしたのだそうです。
「蜜蜂を飼うのは俺一人。田畑は女房がみている。一人だから、もうこれ以上蜜蜂を増やすことができないと思う。健康第一なんだ。お金はどうでもいいことだ。この仕事に定年退職はない。ずっとこうしてやっていきたい。」
お金を稼げる、蜜蜂を飼うのは大変ですが、健康にとてもいいとのことです。
「ロイヤルゼリー、花粉をよく食べるし、蜜蜂を飼う環境は空気が新鮮だ。それに仕事が辛いから、食べ物は何を食べてもおいしい。家に住んでいると、食事がまずい時もあるけど、外に出たら、何でもおいしくなる」
「養蜂家は、人目に分かる。なぜかと言うと、野外で生活するので、シャワーはもちろん無いし、鏡さえめったに見ない。髪の毛や髭は長く伸び放題だ。」
これからの夢はなんですかと聞かれて、鄭さんは次のように話します。
「蜜蜂を丈夫に育てて、多くの蜂蜜を作ろうと思う。夜雨降って、昼には晴れる、蜜蜂にとっていい天気に恵まれることを望んでいる。旱魃や日照りもない方がいい。多くの蜂蜜を採って、お金を多く稼ぎたい。お金を持っていると、安心する」
素朴な願いを語ってくれた鄭さんです。
私が取材を終えた後も、鄭さんはまた蜂蜜を採る作業を始めました。蜂の箱から蜜の付いた巣を取り出して、自ら作った桶の中に入れ、遠心分離機を利用して蜂蜜を桶に採取します。
これは鄭さんの最も好きな音です。蜂蜜が少しずつ桶の中に振り出されるのを見て、鄭さんはまるでこれからの幸せな暮らしが少しずつ近づいてきたような気がすると言いました。
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