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交流さえあれば、必ず問題解決の糸口に――中日日本語教育セミナー取材リポート

2010-08-26 10:31:20     cri    


2010年第三回中日日本語教育ゼミナー会場の様子

 8月25日から26日まで、第3回中日日本語教育セミナーが北京市中心部の中国教育国際交流協会で開催されました。セミナーには中国教育国際交流協会の銭一呈副会長、中国教育省学位センターの王立生副主任、財団法人日本語教育振興協会の佐藤次郎理事長、日本中国駐在大使館の柳澤好治一等秘書官のほか、日本語教育の最前線で活躍している日本語教師など200人余りが参加しました。このセミナーは現在、両国の日本語教育が抱えている問題の解決を目的として開かれているもので、問題をめぐり熱い議論が繰り返されました。


2010年第三回中日日本語教育ゼミナー会場の様子

 これまで年に1回だった日本語の能力試験が2010年から年に2回行われることになり、レベルも元の4つから更に5つに分けられます。これを受け、試験の受け方や日本語教育への影響など様々な意見が交わされ、今後の日本語教育の現場でどんな教育法をすれば、試験の合格率をアップできるのかが議論と中心となりました。

 また、首都師範大学と福建大学の日本語教師は教育現場で実施した教育方法を紹介し、参加者達の多くも意見を出しました。具体的には「漢字の書き方では問題が少ないが、発言には問題があり、さらに日本人教師の協力が必要だ」という意見で一致しました。

 
中国教育国際交流協会林佐平常務理事

 実は日本語能力試験の調整も前回のセミナーの成果の一つです。2007年のセミナーで、中国清華大学の日本語教師が大会で『日本語能力試験を受ける人があまりにも多くて、清華大学大学にも試験会場があるが、それでも足らず、はるばる地方の内蒙古へ行って受験する教え子もいた』と、年に一回だけという試験のシステムに疑問を呈しました。これを受け、財団法人日本語教育振興協会の佐藤次郎理事長が日本の関係部門と連絡し、調整した結果、試験が年に二回行われるようになりました。
 
 そして、前回のセミナーで論議した中国人留学生のビザの交付率が低迷していることについても、セミナーの参加者達が共に問題の解決に努め、中国の大学入学統一試験及び高等学校の統一試験などの認証システムの導入で勉強意欲のある学生の選抜を強化し、日本政府関係部門との交渉で、『留学生30万人計画』の打ち出しの促進などに貢献したそうです。

 セミナーの開催について、中国教育国際交流協会の林佐平常務理事は「両国の日本語教育者に交流の場を提供したい。中日両国間に限らず、中国の各日本語課が設立した大学の間、また、大学とほかの日本語教育機関の交流も重要だ。交流さえあれば、必ず問題解決の糸口がみつかる」とセミナーの狙いを語ってくれました。

 
財団法人日本語教育振興協会の佐藤次郎理事長

 財団法人日本語教育振興協会の佐藤次郎理事長は「両国の若者に異国でも安心して勉学できる環境作るためには、両国の指導者をはじめ、特に日本語教育の最前線で活躍している教育者の交流と協力が重要です。両国の教育者の交流と協力を深めたいという要望に応えて、中国教育国際交流協会と共催することを決め、セミナーの開催で問題を発見し、共に努力して一つ一つ解決していきたい」とセミナーの意欲を改めて語ってくれました。 

 こうしたセミナーが重要視される背景には中国人留学生の増加があり、主な留学先として日本、アメリカ、カナダなどの先進国が挙げられています。統計によりますと、2009年5月時点で、日本に留学している中国人学生は13万2720人にも上り、日本で留学している外国人の8割を占めています。一方、中国国内でもでは留学や就職などの目的で、日本語を勉強する人は82万人以上に上ります。少子・高齢化社会を背景に、日本政府は『留学生10万人計画』を踏まえ、2008年に更に『留学生30万人計画』を打ち出しました。現在これに備え、留学生を受け入れるための環境整備が行われており、特に、留学生の日本語教育が中心となっています。

 そこで、両国の日本語教育者の交流がますます重要になってきました。年に1回のセミナーですべての問題を解決することができませんが、実際な交流を通じて、両国各方面が力を合わせて、共に問題の解決に努めるセミナーの開催自体はこれからの中日交流でも不可欠の存在だと言えるでしょう。(取材:トウ 徳花 ムーケン)

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