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王小玲さん 香港の女性企業家 レストラン・詠藜園董事長(下)

2010-07-01 21:27:40     cri    

美味しさのおもてなしで友好のメッセージを

 「香港初の四川料理の店」としてスターとした詠藜園の当初のメインメニューは「タンタン麺」でした。今は四川料理のみならず、各種創作料理を手がける大型飲食店になりました。地元の政府関係者を始め、一般市民、香港在住の外国人、そしてその名を慕ってやってくる海外の観光客にも好評で、日本の新聞にも紹介記事が出たほどです。それだけではなく、有志の紹介で、詠藜園の担担麺はアメリカのホワイトハウスにまで届けられ、当時のジョージ・ブッシュ大統領から礼状を送られてきたことが、店の自慢となっています。
 開店60年あまりの歴史は、美味しさを極める努力の積み重ねでもあるようです。




















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  秘訣は研さんを重ねること

――中国本土で言う「担担麺」(タンタン麺)は、四川料理の軽食の一つで、普通、小さなお椀に一口サイズの素麺、その上にラー油やひき肉などが乗せていますが…

 詠藜園のタンタン麺は最初から本場の味ではありませんでした。本場の味を目指さず、もっとおいしく、もっと食べやすくするようさまざまな創意工夫をしました。

 そもそもタンタン麺とは、今から100年あまり前に、四川省自貢生まれの行商・陳さんが発案したものです。彼は天秤棒で鍋やコンロを担いで、その場で麺を茹でて売り歩いていました。ただ、麺を茹でる汁もスープも同じ鍋から取っていたため、味がそんなにおいしくはなく、四川地元の人もそれほど好んでいませんでした。

 麺のおいしさの決め手はスープに麺そのもの、そしてトッピングです。私はずっと手打ちの麺を使っているので、コシがあると同時につるつるしていて食べやすいです。また、お腹がいっぱいにならなければいけないので、サイズを大きいどんぶりに変えました。今では、私たちが決めた大きさがタンタン麺の世界標準サイズになりました。

――グルメの店がひしめき合う香港で、美味しさを保つ秘訣は?

 何よりも材料と技術が肝心ですね。香港はグルメの天国と良く言われていますし、香港人は口が肥えています。この香港でグルメ界のナンバーワンの座を保ち続けるには、最高の料理職人と最高の材料を集め、そして、絶えず研さんを重ねることです。

 詠藜園には今、香港及び中国大陸から招かれた腕利きの調理師だけでなく、栄養士も常駐しており、お客さんのニーズに応じて若さを保つ食事や健康を保つ食事のレシピを提供できます。

 当店のシャオロンパオを例に説明しましょう。お箸で挟むと、中にスープがゆらゆらとたっぷり入っているのが透き通って見えます。でも、それをお皿から60~70センチほどの高さから落としても、パーっと響きの良い音がするだけで、皮が割れることは絶対ありません。口に入れると、すべすべとした食感で、とてもおいしいですよ。


美味しさのもてなしで友好のメッセージを
 

 2000年、九龍・ダイヤモンドヒルの再開発工事で詠藜園が立ち退くことになりました。当時、店を閉めると決めた詠藜園のことがメディアで報道されてから、最後のタンタン麺を一杯食べるため、殺到してきた人達の長蛇の列ができました。それを見た王さんは旦那さんを説得し、店を移転して経営を続けることに決めました。その後、10年余り、王さん自ら経営の切り盛りをして、多くの苦労もしましたが、努力の甲斐もあり、詠藜園の香港の店は3軒に増え、このほか、日本、アメリカ、そして中国本土での出店計画も着々と進んでいるようです。

――この9月にも、海外出展第一号に、東京での店舗が開店するようですね。

 はい。虎ノ門に面積350平米の店を出します。日本のビジネスパートナーと提携して作った店ですが、「お料理の値段を高く設定せずに、高中低の三ランクにし、昼や夕方の混む時間帯と勤務中の時間帯とで、それぞれ違う料金を設定していく」ことをビジネスパートナーと話し合っています。

――日本で設けた利益は半々に分けて、日本と中国の身障者たちにそれぞれ寄付するとおっしゃっているようですが…

 日本が昔、起こした侵略戦争でたくさんの中国人が亡くなりました。しかし、仏教徒の私にとって、それらはすべて昔のことです。今、両国の人々は何よりも友好的でなければいけないと思います。「徳をもって怨みに報いる」ことは中国人の美徳だということを日本の皆さんに知っていただければと思います。

 私達は小さな店ではありますが、美味しいもてなしで日本の皆さんに「中国と日本は友好的でなければいけない」というメッセージを伝えたいと思います。

■飲水思源 

 王さんは身障者、高齢者への生活支援を始め、慈善事業にたいへん情熱を注いでいます。さらに、50歳にして医療事故でなくなった姑の名前で慈善基金の設立を計画しており、75歳以上の高齢者に対して、タンタン麺を無料で提供するサービスをしています。
 こうした行動の背後には、自らの人生体験が深くかかわっているといいます。

――身障者や年配者の生活支援をしたいと決めたきっかけは?

 今から40年余り前に、まだ若かった母が脳溢血で倒れました。最初は公立病院で治療を受けましたが、母は恵まれていたほうで、同じ公立病院の隣の病床には、治療費が払えず、「早く死んでしまえ」と言われた患者が寝ていました。それを見て、かわいそうで仕方がありませんでした。

 また、車椅子の母を連れて買い物に行った時、行列の後ろにいた人たちから冷たい言葉をかけられたことがあります。そういった体験があったから、将来、自分がお金を持つようになったら、体の不自由な人たちでも便利に暮らせて、まずしい人達でも病気の治療に困らないよう支援しようと心に決めました。

――様々なチャリティー活動の中で、中国本土に送った義捐金の送り手には、「詠藜園をはじめとしたすべての香港同胞」と書き入れていたようですが…

 水を飲む時に、その水が流れ出た源を忘れてはいけないと思います。私は、自分なりに、自分たちのビジネスが何故成功したかについて考えてみました。すると、三つのことのお陰だと気づきました。まずは神様の恩恵、次はおいしい料理を作ったスタッフ全員のお陰、そして、三つ目はすべての香港人のサポートがあったからです。当店は香港の有名店舗でしたが、今は中国の有名ブランドという名誉をもらいました。ひたすら感謝してやみません。

(聞き手:王小燕、写真提供:梁錦江)

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