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日本人スタッフのつぶやき114ー「水」

2012-01-09 11:29:40     cri    

 北京で4ヶ月目を迎えた志摩です。今年前半は中国の暮らしの「基本的な物」にスポットを当てます。今回は『水』です。

 私が大学1年の時、イザヤベンダサン(後に山本七平のペンネームと判明)の「日本人とユダヤ人」という日本人論が300万部を超える大ベストセラーとなりました。その中に「日本人は水と安全はただだと思っている」という有名な一節があり、私はそれを読んだとき、「へー、水ってただでないの?」と、本気でびっくりして妙に感心したのを覚えています。

 その後、旅行などで海外に行き、ミネラルウオーターを持ち歩いたり、茶色い水のシャワーに出会ったりはしましたが、中国に来て改めて「水がただでない」事や文字通り『湯水の如く』「水を」贅沢に使える日本の特殊性について考えさせられています。

 さて、中国で使う水にはいくつもの種類があり、私の家では4種類の水を使っています。

 まず、イザヤベンダサンという時の「トイレ用の水」(すみません!つまらない駄洒落で)。それから「洗面所やキッチンで使う水道水」

 日本の家庭ではトイレ用の水も、キッチン用の水も、同じ水道水を使っていますが、中国では水の質が違い、水道水代もそれぞれ会計が別です。

 さて、これからが込み入ってくるのですが、実は中国の家庭でも、キッチン用の水を飲料や料理用として使っている家は少ないようです。水は石灰が多く含まれた硬水で、飲料や料理には適しません。ですから、我が家では、洗顔や食器洗い。そしてやかんで一度煮立てて冷ましたものを(やかんの内側は、水に含まれる石灰がこびりついて、うっすらと白くなります)加湿器用の水に使っています(冬、とても乾燥する北京では加湿器が欠かせません)

 そういうわけで、飲料や料理用に、購入する家庭が多いのが「ポリタンクに入った水」です。水の配達店があって、なくなると、電話で配達してもらいます。

 我が家の場合は電話で物を頼めるほど中国語ができないので「水の自動販売機」で購入しています。マンションの敷地の中に、こうした自動販売機が3箇所あります。ちなみに

 6リットルのポリタンクをいっぱいにして、値段は1.3元ほど(17円ぐらい)です。この水を料理や一度沸騰させて、飲料に使います。

 勘違いしそうですが、この水はミネラルウオーターではありません。キッチン用の水道水を、さらにろ過したものだそうです。ただ、私の場合この水を飲料用にすると、妙にトローとした感じがして(さらさら感がないんです。ただし妻はぜんぜん気にならないようです)飲料用だけはスーパーで④「ミネラルウオーター」を買います。

 ミネラルウオーターは外国のものから中国産までたくさん並んでいますが、私は中国の物をいつも買っています(ちなみに、海外メーカのミネラルウオーターは中国の3倍ほどの値段がします)整理すると、我が家の場合4種類の水を使っていて、その水の質も値段も、さらに言えば支払い先もそれぞれ違います。トイレ用と自動販売機の水は事前に、百元なら、百元分のカードを買い、その値段分の水を使い切ると、水の供給はストップします。ちなみに、ガスも電気もこの方式で、気をつけないと、ある日突然、理由のいかんを問わず、供給はストップします。キッチン用の水道水は、日本と同じで、事後に使用量分の請求があり、銀行で振り込みます。

 さて、水に関連して、中国に来た日本人が一番戸惑うのが、お風呂です。中国では、一般的に風呂桶はなく、入浴はシャワーです。

 

 画面上の天井近くに取り付けたタンクでお湯を沸かし、それをシャワー用として使います。

 大きさを理解してもらうため、週刊誌を横においてみました。タンクのお湯の量は十分とは言えず(日本のように蛇口を開けばずっとお湯が出続けるわけでなく、タンク内のお湯がなくなると、次のお湯の供給までに、少し時間がかかります)日本流に言えば心ならずも「カラスの行水」を余儀なくされる毎日です。

 日本人スタッフの間でも「子供の水遊び用の空気プールを風呂桶代わりが使えないだろうか」とか「風呂桶を売っていた」とか、飲んだ席などで、あれこれ、実に、未練たらたらのお風呂話に花が咲きます。

 だから、何だという話ではないのですが、中国にいて「望郷の念」を覚える要素の一つが『水』で、特に日本人にとっての「アキレス腱」であることは間違いなさそうです。

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