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「鵞鳥の羽」(千里送鹅毛)

2011-11-17 15:27:14     cri    

 さて、翌日はまだ暗いうちに汪おばさんは起きて二羽の鵞鳥を捕まえ、麻の縄で縛り、しっかり抱いて息子に声をかけて出かけた。そして夜が明けたときに太平集という町に着いた。すると、あるオヤジが声をかけてきた。

 「おう!あんた子狐庄の汪おばさんじゃないかい?」

 「ああ。あんた誰だい?私になんか用かい?」

 「おお、わしはそこの居酒屋の主で包をいうもんだ。いや、汪おばさんと会うのは今が初めてだ」

 「というと」

 「実はあんたんちの隣の柱子という若いのは、わしの甥でね」

 「ああ。隣の柱子かい。あんたその叔父さんだね」

 「そうだ」

 「で、その叔父さんが・・・・」

 「昨日の夜、柱子はうちに来て、あんたが都に皇帝をたずねに行くと聞いたんだ」

 「ああ。そのつもりだよ」

 「そこで、今朝はやくからここであんたの来るのを待っていたというわけさ」

 「私に何の用かね?」

 「こんなこといっちゃあなんだが。わしの造った酒は評判がいい。おかげで商いはうまくいってるんだ」

 「酒?ということは・・」

 「そう。汪おばさんよ。わしの造った酒を皇帝さまに届けてくれないか」

 「え?それはいいけど・どうして?」

 「いや、聞くところによると、あんたの義理の息子の皇帝さまは、貧しかったときのことを忘れていないというじゃないか」

 「そうだよ。だからむかし面倒を見たこの私を都に呼んだんだ」

 「偉いねえ。わしはそこを見込んで自分の酒を飲んでもらおうと思ったんだ」

 「そうかい。そういうわけなら私が届けよう」

 「すまねえな。じゃあ、これが酒、ついでに少ないが路銀も少し渡しておこう」

 「路銀なんていらないよ」

 「ま、そういわずに。わしの頼みごとを引き受けてくれたんだから、ただじゃあすまねえよ」

 「そいかい?じゃあもらっとくか。助かるよ」

 というわけで、汪おばさんは頼み物の、蓋がしてある徳利を腰にぶら下げ、路銀を受け取り旅路を急いだ。

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