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「爺さんから借りた筆」

2011-11-10 11:37:36     cri    

 「妻の言いつけ」

 むかし、ある国で王が宰相を選ぶことになった。この王、宰相となるには、頭が切れ、肝っ玉が太く、それに一番大事なのは妻を怖がらない人物ではならないと考えていた。

 そこでその日、大臣たちを呼び、その場で宰相を選ぶことにした。王がじっくりみると、下に立っているのはいずれも頭が切れ、肝っ玉が太いものばかりだったのでニコッとしたあと厳かにいう。

 「大臣ども。よく聞け!妻を怖いとおもうものは、右側に寄れ!」

 これを聞いた大臣たちは、しばらくもじもじしていたが不意に怖い顔をしてぞろぞろと右側に寄った。

 これに国王はいやな顔をした。が、ある黒ひげの大臣は、目をつぶって一人で左側に立っている。これに国王は、やはり見所のあるものがおったかと喜び、機嫌よくその大臣に聞いた。

 「ほほう!よしよし。うんうん!そのほう左側に一人立っておるが、妻などを恐れてはおらんとみえるな。けっこうけっこう!」

 これを聞いてその大臣は、難しい顔をしていたが、やがておどおどしだし答えた。

 「申し上げます。そうではござりませぬ。実はわたしめは、妻から言われておりまする」

 「うん?その方の妻はなんと申したのじゃ」

 「はい。人の多いところには決して寄るなと!」

 そろそろ時間のようです。では来週またお会いいたしましょう。


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