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賢い少年

2011-10-20 10:59:13     cri    

 こうして翌々日になった。案の定、かの商人がこの日も来たが、これに少年の父は、少年の言ったとおりに答えた。

 これに商人は首を傾げたが、実を言うと以前からこの少年にいくらか気があったのだ。というのは少年はかなりの男前で、賢そうであり、それに自分がこの家に来たときは、貧乏人の息子としてはいつも行儀がよかったからだ。

 「息子や!息子!旦那がお前に聞くことがあるので、出てきなさい」

 この少年の父の呼び声に商人が少年の部屋を見たが、中からは、ただ本を大声で読む声だけが聞こえ、少年は出てこない。

 「うん。学問に励むとはいい心構え。なかなかよい子じゃな。ではわしが行って見よう」と商人は自ら少年の部屋に行った、そこで戸を開けたところ、中ではピカピカ光る金のかぶとをまとい、青い顔をしたものが、大きな筆を手に少年の横に立っていた。びっくりした商人は戸を閉めてしまったが、あれは確か学問の神の魁星だと気がついて、また戸を開けたところ、魁星の姿はなく、そこには少年だけが本を声を出して読んでいるばかり。これに商人は顔をしかめていたが、少年はそれに気づかないふりをして本を読み続けた。そこで商人は何かを悟ったのか、戸を閉めて少年の父に言う。

 「いやいや、驚いたわい。あんたの息子さんは、只者ではない。どうじゃ。息子さんをここへ呼んでもらえないか?」

 こうして父は少年の部屋に行って少年を連れてきた。そこで少年はいつもよりは行儀よく挨拶し、商人のいろいろな問いに立派に答えたので商人は一度に気に入ってしまった。そして少年の父に言う。

 「あんたにはこのようなすばらしい息子がいるのですぞ。息子さんはいつかは出世するに違いない」

 これを聞いた少年の父は何のことがすぐにはわからず、「え?どういうことです?」と聞き返す。

 「息子さんには神は着いているので必ず出世しますよ。どうです?実はわしにはあんたの息子さんよりいくつか小さい娘がいましてね。これはわし一人の考えだが、あんたの息子さんをいつかは娘婿にしたいのだが・・」

 これに父は驚いた。

 「何ですって?うちの息子をあんたの娘婿に?」

 「そう。もし、あんたがうんといえば、これでことは決まるというもの。それにわしの娘婿になれば、これまでの借金は返さなくともいいことになる。ま、わしの娘婿になるのはあと数年後のことだが、いまから、わしが確かな先生に頼んで息子さんに学問をやらせましょう」

 「ほんとうですか?」

 「もちろん。うそはつきません。それに息子さんがわしの娘婿になれは、わしの娘も幸せになれるというもの」

 これに少年の父は大喜び。その場で息子に商人に対し娘婿としての挨拶をさせた。もちろん、商人も喜んで帰っていった。

 そして翌日、商人は仲人を少年の家に送り、そのあと少年と父を自分の屋敷に迎えて住ませ、確かな先生を雇って少年に学問をやらせた。こうして少年はめきめきとその賢さをあらわし、のちの官吏になる試験に最もよい成績で受かり、そのあと商人の娘と夫婦となった。そしてその後は大役についたという。

 もちろん、少年の父は息子も言うとおりにしたおかげで、その後は何不自由なく暮らした。

 そう、かの娘思いの商人も自分が睨んだとおり、娘婿が出世したので同じように喜び、のちの商いもうまく行ったという。

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