サニ族は少数民族イ族の支系です。中国西南部の雲南省石林イ族自治県には大糯黒という村落があり、村人の99%はサニ族です。ここの風景は美しく、サニ族の民俗と風習が素朴であり、特有の民族の服飾は今も伝えられ、その信仰宗教活動も行われているのです。
大糯黒村は雲南省の省都昆明市から25キロの所にあります。このように大都市からは遠くないものの、依然として、村では古くて伝統的なサニ族の文化が保たれています。大糯黒村は石で知られており、ここの住宅や道路はほとんど石造りのものです。サニ族はいまからおよそ600年前から石で家をつくってきました。大糯黒村は雲南大学にとっては人類学研究拠点の一つとなっています。この大学の人類学者である陳学礼さんはここで1年間生活し、実地調査を行なったほか、これまでの10年間に、ここら一帯である石林地区のあらゆるサ二族の村を回りました。陳さんは、これら村の住宅はほとんどが石を使ったものだと話してくれました。
木陰に覆われ、石板を敷いた道を歩いて大糯黒村に入りますと、正面から涼しい風が吹いてきます。天をつくように伸びる古木と緑の竹が目の前に開けます。ここに住むサニ族の人々には樹木崇拝の慣わしがあります。具体的にいうと、若者が結婚し実家から独立した時に山で1本の木を崇拝の対象とし、それを保護し育てていきます。で、どのサニ族の村にも、樹木と潅木からなる「密枝林」という森が茂っています。サニ族はこの「密枝林」を崇めているのです。
サニ族には次のような伝説が伝わっています。昔、「密枝思瑪(ミーズースマ)」という人が村の羊群れを必死に保護しました。村人はこの人物を記念するため、毎年木を植え、森の中に石の家や塚みたいなものを造り、その中に神棚を置いて、密枝思瑪を神として祭るのです。陳学礼さんの話によれば、サニ族は毎年旧暦の7月あるいは11月に森の中で祭式を行い、村の安定や繁栄、それにその年の豊作を祈るのです。
伝統的な文化はこれまで大糯黒村でしっかりと保存されてきました。しかし、村人たちの生活様式は少数民族でない人々とはあまり変わりません。つまりサニ族の人々の暮らしにも現代的な文化がどんどん入ってきたのです。この村に住む260世帯の農家は主にトウモロコシや煙草の栽培によって生計を図り、年間収入は平均して1人当たり約4000元です。またここ数年、ジャガイモや小麦をも植えるようになりました。
そして今では、家々がテレビや冷蔵庫、携帯電話、トラックターなどを持つようになったほか、メタンガスも使っています。これによって、疲れる家事は少なくなり、暮らしはかなり楽になりました。またサニ族は教育を非常に重視しており、子供たちは村の学校で小学4年まで勉強した後、県庁所在地にある学校に上がることができるのです。
現代的な文明はサニ族の人々の生活を豊かにしたほか、彼らの努力の下に、サニ族の伝統的な文化もずっと継がれてきたのです(翻訳:トウエンカ)
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