中国西南部の雲南省には26の少数民族が暮らしており、少数民族が最も多い省です。ハニ族はそんな少数民族の一つです。ハニ族は民族独自の文字がなく、ハニ族の歴史や文化、生産手段などは口伝えで受け継がれています。
ハニ族は歌を得意とする民族で、昔から広く伝えられてきた民謡があります。中国の唯一のハニ族自治県である墨江県の民謡は、民族の特徴と芸術性が強く表れています。
ハニ族の人々は働きながら民謡を歌い、素朴な歌声で感情を表しています。また、客を招くときにも歌います。ハニ族の歌は民族の社会、歴史、文化を伝えるものであり、民謡から時代ごとに異なる暮らしぶりをうかがい知ることができます。その内容は、天文や地理、歴史、天候、文学、芸術、農作業などの知識も含まれています。墨江ハニ族自治県文化体育局の李偉忠副局長によれば、ハニ族の音楽には古代の中国語と似通ったところがあります。というのも、ハニ族の民謡で使われる言葉がすべて古文です。
その民謡には「祭竜」という歌があります。この歌は「カッコウがキョッキョ、キョ、キョと鳴く、種をまく時期になった。緑の苗は笑っているようだ」と歌っています。ハニ族の民謡は歌詞が短く、曲の全体の長さは歌う人の気持ちによって決まります。メロディは変化することがあれば、まったく変化しないものもあります。そしてその場の雰囲気に応じて歌う歌が選ばれます。
たとえば、山で歌われる歌は男女の恋を表したもので、家で歌われるのは民族の文化を伝えるものが多いです。
さらにメロディは情感に訴えかけるものが多いです。最も典型的なものは子守り歌で、母の愛が深く感じられます。
恋の歌は若者の生活に欠かせません。恋人たちは畑で働きながら、恋心を歌で伝えています。
現在、墨江ハニ族自治県は生活レベルを向上させると共に、口伝文化における民謡の保護や発掘、伝承を積極的に進めていて、学校の授業でもハニ族民謡を教えています。一部の学校と村では舞踊チームを作り、年に一回、マルチメディアによる舞踊のコンクールを行っています。
ハニ民謡はハニ族の先祖が残した無形文化であり、中華民族の宝でもあります。(翻訳:トウエンカ)
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