実は、中華文化のシンボルとして、漢字は中国でかなりの文化的地位があります。2009年の9月30日、中国書道は国連の無形文化財に登録されました。中華文化の媒体の一つとして、漢字や書道の発展は直接中華文明の繁栄につながると見られています。昔、字を書ける人は文化的素養の高い人、文化人と見られていました。漢字の普及もその国の文化発展を反映していると言えます。
ですから、いま、多くの人が字を書けなくなったという文字離れの現象には、伝統文化の衰退が理由に挙げられています。現代人は忙しい生活に追われ、ゆっくりと本を読んだり考えたりする時間はあまりないようです。ペンを取って落ち着いて何かを書く余裕がさらになくなっています。
文化の積み重ねには時間がかかります。インターネットの普及によって、大衆文化もファーストフードのようなものになりがちです。ネットで何か話題があると急に盛り上がり、でも、またさっと消えたりする現象がよくあります。しかし、字を書くこと、手書きはパソコンを打つよりは時間がかかるものの、書きながら考える余裕があります。何といっても、漢字は中華文化の根本ですから。いま、海外では多くの国に中国語教室が設けられ、多くの外国人が筆を取って漢字を練習していますが、逆に中国では、人々はあまり字を書かないのは寂しいことですね。漢字の発展は大きな試練にさらされています。
日本では、京都の清水寺では、毎年の年末に、この一年を総括する一文字が発表されますね。その際には住職が大きな筆を持って書き、すでに風物詩となっています。こちらでもこのような民間の活動によって漢字の伝承を進めてほしいですね。いまはどうも効率を求めすぎているような気がします。時には、ゆったりと字を書いたり、考えたりする必要があります。静かに字を書きながら、落ち着きや心の安定を取りもどします。心理や精神状態の調整にもなると思います。
ですから、今回、教育省の指示によって、子供たちは習字の時間を与えられたのは確かにいい案だと思います。いまの子供はピアノや数学など、いろんな練習に追われていますが、習字の授業、もしかして心や脳を休ませる憩いの時間になるかもしれません。静かに考える力を身につけてほしいです。私たち大人も、暇な時、テレビを見たり、ツィッターで呟くより、家族や友達に手書きの手紙を書いたらいかがでしょうか。心の安らぎにもなりますし、手紙をもらった家族や友達にもきっと喜んでもらえるでしょう。
そう言えば、いつも綺麗な手書きの手紙を寄せて頂いたリスナーの皆さんに一言感謝の言葉を送りたいんです。これからもぜひ、皆さんからのお便りお待ちしています。(終わり エーリン 「イキイキ中国」より)
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