高校生の留学ブーム、この現象が現れた要因のもう一つは、教育のグローバル化にあります。いま、世界の一流大学は優れた生徒の誘致に力を入れています。将来性のある優秀な学生を集めるため、巨額の奨学金を出したりして、いわゆる激しい青田買いの熱戦が繰り広げられています。日本や一部の先進国では、少子化問題が深刻になっていますし、大学も定員割れの問題に直面しています。ちょっとさびしい話なんですが、教育もいま、一つの産業、つまりマーケティングになっていますね。中国は人口が多いですから、世界の教育産業にとっては、魅力的な市場です。一方、国内での進学は厳しいので、ますます多くの中学生や高校生は海外留学を選ぶのも、納得できますね。
いま、中国国内でも、留学予備校のような塾や英会話のセミナーがたくさんありますね。これも海外留学ブームによるものでしょう。北京の多くの重点高校では、国際クラスが設立されています。一クラスの人数は30人から50人で、一学年は100人から200人もいるということです。これら国際クラスの授業レベルは外国の大学受験に合わせたもので、毎年の学費はなんと、十数万元もかかるそうです。でも、学費は毎年十数万元もかかるなんて、親にとっては、結構大きな経済的負担になりますね。
ちなみに、このような国際クラスでは、まったく外国の高校と同じ授業だそうです。例えば、英会話や、英語の新聞や雑誌、小説の閲読討論会が盛り込まれ、宿題も読書日記や小論文などがメインだそうです。また、テニスや、水泳、ピアノなどの授業もあります。学校側によりますと、すべてはアメリカやイギリスの高校の教育モデルを導入したもので、先生もほとんどは外国から招いてきた外国人だそうです。
しかし、これはただの始まり、いったん外国の大学に受かったら、奨学金があればいいけど、なければ、両親からの送金が必要ですね。幼い頃から恵まれた中国の一人っ子たちにとって、独りでの海外留学生活は、やっぱり懸念されますね。
実は、親の心境も複雑ですよ。一方では、自分のすべてを子供に尽くして、子供が立派なエリートになってほしいけど、他方では、期待が大きければ大きいほど、万が一の場合、失望も倍増になります。現実には、海外の大学を卒業して、現地での就職ができず、帰国してもなかなか職に就かない例がいっぱいありますね。確かに、海外留学によって見聞を広め、視野も広くなりますけど。英会話や外国人とのコミュニケーションにばかり力をそそぎ、祖国に戻ってから、かえっていろいろと慣れなくなる恐れもありますね。例えば、中国に留学してそのまま中国に残って就職したものの、その後日本に帰ってもあまりに文化の違いでなれなくて、結局中国に戻ってきたという日本人もいますよ。
でも、人生にはいろいろな可能性がありますね。良い意味でも悪い意味では、若いうちにいろいろと学んで体験したことに間違いはないと思います。ただし、外国の優れたものを身につけると同時に、本民族の伝統や良さなども忘れてはいけませんね。いろいろと苦労してAを身につけてから、結局もともと持っているBを失えば、結局損になりますね。留学は本当にいろいろなチャンスや試練に直面しています。決して楽な選択ではないと思います。体も心も、よりいっそうしっかりしなければなりませんね。
このような高校生の留学ブームも決してたまたま起こったことではないと思います。いいか、悪いか、人によって違いますけど、これをきっかけに、関係部門には教育制度をもう一度きちんと見直してほしいです。
夏休みもそろそろ終わり、もうすぐ9月ですから。中国の新学期は9月から始まりますね。学生の皆さんもぜひ、自分の選んだ道を歩み続けて、頑張ってくださいね。いつも応援しています。(終わり エーリン「イキイキ中国」より)
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