新しい一年を迎えるため、北京の各劇場やホールでは様々な催しものが開かれました。クラッシックコンサートや、バレエ、京劇などなど、新しい一年の華やかなスタートにふさわしいものばかりです。中でも、日本の皆さんも耳にしたことがあると思います。「千手観音」です。
「千手観音」、日本のメディアでも取り上げられましたので、皆さんよくご存知ではないでしょうか。ご存知ない方のために、少しおさらいです。「千手観音」というのは、中国の体の不自由な方々による舞台パフォーマンスです。日本では千手観音-My夢Dreamと題して、2009年と2010年に公演が行われました。日本だけではなく、世界でも公演を行い、どこへでも絶賛されるパフォーマンスです。
中国には、中国障害者芸術団という団体がありまして、この舞台は全て彼らがつくりあげたものなんです。独唱、合唱、楽器の演奏、ダンスと様々な演目があり、体の不自由な方々がそれぞれの才能を発揮しています。中でも、耳の不自由な男女21人による千手観音のダンスパフォーマンスは、とりわけ華麗で美しく多くの人々を魅了しました。取り上げられる時に、体が不自由な人たちによる、という説明がつくんですが、体のハンデをものともしない、高レベルの芸術です。この芸術団は、1987年に設立したもので中国全土約6千万人の障害者の中から選ばれた100名ほどの団体です。聞いたところによると、もともとは、国の援助を受けていたそうですが、「特別な扱い」を受けることをよしとせず、寄付や援助を受け取らず、自分たちで商業公演を行っているんだそうです。しかし、彼らは、独立し見事に自分たちの芸術レベルの高さを証明しました。
そして、世界をも魅了するこの芸術を作り出したのは、中国で最も有名な演出家、張継鋼氏です。この人なくしては生まれませんでした。実はこのたび、2011年を迎えるために北京の国家大劇場で行われた「千手観音」はダンスではなく、バレエの舞台で張氏の新作です。あれだけ評判の良かった「千手観音」の再演ではなく、新たな演出でつくられたバレエ、千手観音は、仏教の中のお話を題材としたものです。ある国の王女が、父の命を救うために蓮の花を捜し求める旅をするというお話です。物語を12の場面に分けて、踊りで表現していきます。
まずは、舞台のセットに驚きました。LEDパネルをふんだんに使った大型セットです。床と天井にLEDパネルが使われてまして、またこれがななめになったり、平らになったりと場面にあわせて、移動するんです。LEDパネルを使った表現は、2008年の北京オリンピックでもみられました。今回はグレードアップしていますよ。おもしろい視覚効果が生まれ、音楽と映像とそれに人の動きが加わって、より幻想的な舞台となっています。
また、今回の出演者は、山西省の太原舞踏団の方々で、バレエですから雰囲気もかなり違いました。中には難易度の高い、張氏の得意な演出、アクロバットな動きをする振り付けも入っていました。仏教の物語を題材として、題名はやはり千手観音ですから、最後はやはり観音様が登場します。12の場面に共通するものは、やはり「生命」と自然です。どの演出も自然を踊りで表現するものです。最後は観音様が登場するんですが、この場面は300名もの出演者によって表現され、それはそれは荘厳なものでした。以前は21人による手の動きを意識した演出でしたが、表現手法も全く異なります。21人による表現は、やわらかな動きと、繊細さが目立ちましたが、今回の300名のパフォーマンスは、ダイナミックな動きの連続性が感じられました。ずっと見ていると、別世界に行ったような気がしました。
同じテーマで、新しい表現を試みた張氏の新作、「千手観音」。こちらも国内のみならず世界の多くの人々にみてほしいですね。中国の舞台芸術のレベルの高さにきっと感動すると思います。(「イキイキ中国」より 02/04)
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