タクシーはある意味で、その都市の顔と言っても過言ではありませんね。今回は北京のタクシーにスポットを当ててご紹介します。
北京のタクシー、色は黄色に、青・紫・緑・茶色のいずれかとのツートンカラー。初乗りは10元、日本円でおよそ130円で、3キロ以上になると、1キロ増すごとに2元、日本円でおよそ30円ほど加算されます。夜11時から翌朝5時までは深夜割増料金として20%加算されます。北京市内を移動するのに、一番便利な交通手段として人々に愛用されています。
ここ数年、北京の地下鉄線が一気に増えましたが、全地域まで、路線が延びるのは、まだまだ時間がかかりそうですね。バスの乗り換えは面倒なので、出かける場合、まずは地下鉄に乗って、近くまで行ってからタクシーに乗るのが、一番便利な方法です。
東京にいる皆さんは東京でよくタクシーを利用していますか。たぶん乗る必要はありませんね。どこへ行っても電車や地下鉄の乗換えが便利ですから。また、東京のタクシー料金は本当に高すぎます。逆に北京では、乗車料金はそれほど高くないのでタクシーは一般市民の生活に欠かすことの出来ないものです。市内の主な通りでは、たくさんのタクシーが走っていて、拾い易いですよね。また、メーター制ですから、メーターを倒さないでトラブルになるようなことも余りないですね。ただし、日本と違うのは、ドアは自動で開きませんから、自分で開け閉めする必要があります。
では、北京で最初のタクシーはいつ頃出来たのか知っていますか。
歴史の記録によりますと、北京で最初のタクシーは1913年、東単にあるフランス人経営のタクシー会社でした。当時の車種はアメリカ製のフォードモデルTでした。主に中国駐在の外国商社にサービスを提供していました。また、1930年代以降、タクシー業は北京で盛んになり、車種はアメリカ車を中心としました。日本でいうと、ハイヤーみたいなものだったんですね。東単は王府井辺りですね。昔からの繁華街です。でも、1920年代や30年代のことなら、人力車のほうがタクシーよりも普通していたんじゃないですか。
新中国が成立してから、北京のタクシーは十数台しかなかったし、市民生活からかけ離れた遠いものでした。そして改革開放を迎えた1980年代に入って、北京のタクシーは本格的な発展を迎え、1984年から、パンの形をした黄色いワゴンタクシーがあちこちを走るようになりました。北京市民に「面的」と親しく呼ばれていました。ミニパンタクシーの意味です。中国語では「タクシー」は「的」に「兵士」の「士」と書いて「的士」と言いますから。黄色いパンのようなワゴンタクシーは「面的」と言うようになったのです。
1980年代の半ば頃から、90年代の末まで、このような黄色いワゴンタクシー「面的」は、北京の一大風景となりました。当時、北京を訪れたことのある方はきっと印象があるでしょう。でも、このようなワゴンタクシーは、汚れていて、見た目も悪く、さほどスピードも出ないし、故障が絶えないなどの理由で、1998年に全面撤去されました。その後、北京のタクシーは天津自動車工場の生産した「夏」に「利益」の「利」と書く「夏利(シャレード)」の時代を迎えました。赤いシャレードは北京タクシーのニューフェースとなりました。でも、このようなタクシーにはエアコンがなかったので、夏になると、大変暑かったですね。いよいよ北京オリンピックを迎えるため、2006年、北京のタクシーはもう一度生まれ変わりました。車種は韓国ヒュンダイ自動車との合弁会社・北京現代自動車のソナタとエラントラで、色は黄色と青・紫・緑・茶色のいずれかとのツートンカラーです。値段も今の初乗り10元、3キロ以上、1キロに2元の加算となりました。
北京オリンピックをきっかけに、北京の交通がよく整備されましたね。タクシーがとても綺麗になりました。エアコンも付いて、夏は暑くないし、冬は寒くない、乗り心地はずいぶん快適になりました。また、体の不自由な方、例えば車椅子をご利用の方に便宜を図るため、一部バリアフリーのタクシーも導入されました。さらに、低炭素のエコ理念を提唱し、北京のタクシーにはハイブリッドカーも現れるようになりました。北京では、地下鉄やバスといった公共交通機関が市内を網羅していますが、慣れない方にとっては迷ったり、時間が読めないなど、不安な部分も多いですね。その点、タクシーは確実に目的地まで連れて行ってもらえるので、気軽に利用できて、とても便利です。
いま、北京のタクシー会社は137社あり、タクシーの数はおよそ7万台あるということです。深夜でも繁華街やホテルの前なら、簡単に拾うことが出来ます。でも、一部地下鉄の乗換駅や、空港、駅、繁華街では、自家用自動車を用いて無資格で営業している「黒車」が多いので、ぜひ気をつけてください。日本と逆に、中国では、「白タク」のことを「黒」に「車」と書いて、「黒車」と言いますね。北京では、きちんと認可されているタクシーのカーナンバーは、頭に 北京の「京」とローマ字の「B」があります。それ以外のナンバーに「白タク」が多いです。タクシーをご利用の場合、降りるときぜひ領収書をもらってくださいね。万が一、忘れ物をしたら、領収書記載のタクシー番号がわかれば特定できます。
最後にもう一つ、ガソリン価格の上昇によって、いま、北京でタクシーに乗る場合、3キロ以上走れば、燃料税が取られます。均一で人民元の1元となります。以上、「北京暮らし」、北京のタクシー事情についてご紹介しました。ここで一曲をお届けします。孫小宝の「出租車(タクシー)」、どうぞお楽しみください。(「イキイキ中国」より)
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