中国とアセアン・東南アジア諸国連合の自由貿易区が来年、設立されます。これは、中国にとって初めての自由貿易区となります。その設立を控え、中国とアセアンによる6回目の博覧会が先月末、中国で開催されました。
中国・アセアン博覧会は2004年に始まったものです。この博覧会で、中国とアセアン加盟10カ国は、自国の商品を展示して紹介したり、企業の連携について話し合ったりしています。6回目を迎えた今年は、中国南部、広西チワン族自治区の中心都市、南寧で5日間にわたって開催されました。中国とアセアン加盟各国、およびその他の国と地域からのビジネスマンなど約5万人が参加し、契約総額は16億ドル(約1400億円)を超えました。また、今回は、ラオス、ベトナム、ミャンマーなど6カ国が初めて独立した展示会場を設け、自国の商品を展示し即売しています。
ミャンマーのビジネスマン、アウン・ナインさんは今年で4回続いて博覧会に参加してきました。ミャンマーから持ってきた木製の家具は中国の消費者にとても人気があり、これまでの博覧会では毎回も売れ行きがよかったということです。アウン・ナインさんの話です。
「この博覧会は運営が上手なので、各国とも儲かっているようですよ。展示された商品は、知名度が上がって国際市場でも有利になりそうです。来年、中国・アセアン自由貿易区ができたら、ミャンマーにもっと多くのビジネスチャンスがもたらされるでしょう」
博覧会の開催地、南寧市で建物の省エネ技術と製品の開発に取り組んでいる中国人ビジネスマン、莫善毅さんは今回、初めて博覧会に参加しました。アセアンの一部の加盟国では、不動産市場は少しずつ成長していますが、建物の省エネについては人々の意識も技術もまだまだ不足しているのが現状です。そこで大きなビジネスチャンスが生まれてきていると、莫さんは考えています。
「私たちは、ビジネスのターゲットを周りの国々に置くことを考えています。たとえば、ベトナムとか、タイなどの国ですね。とくにベトナムですが、不動産の開発はとても調子よく進んでいるのですが、省エネのことを見ると、中国に比べてまだまだ遅れています。ですから、そこの市場を開発するのに非常に大きな可能性があるのではないかと思っています」(莫善毅さん)
博覧会では、商品の展示、即売のほか、ビジネスの相談や投資説明会なども行われました。その中で、貨物輸送やサービスの利便性などが議題とされ、とくに中国とアセアン各国を結ぶ交通網の整備が話題の中心となりました。これについて、インドネシア商務省の研究・開発機構の責任者、ムフタール氏は、輸送力の不足はインドネシア製品の国際競争力にマイナスになっていると見ていて、次のように話しています。
「インドネシアでは、島と島を結ぶ交通や島の内部の交通などがスムーズとはいえません。この問題を解決すれば、製品のコストを減らすことができ、国際市場での商品競争力が高まると思います」
こうした状況を踏まえて、中国政府はアセアン加盟国のインフラ整備を支援し、100億ドル(約9000億円)規模の投資協力基金を設立することを決めました。この事業に取り組む中国輸出入銀行の李若谷総裁によると、いまのところ、すでに10億ドルが集まっており、この資金はアセアン各国の交通網とインフラの整備に優先して使われます。アセアン加盟各国の政府や企業だけでなく、個人でもその資金を申請することができるということです。これについて、李総裁はこのように話しています。
「道路や橋、あるいは港でもいいですが、まず、その整備計画を出してもらいます。私たちはその計画を検討して、条件に合うものなら投資をします。最初の10億ドルは主にインフラ整備に使われますが、これからは、製造業やその他の分野にも資金を出すことになります。これらの投資によって、中国とアセアンの自由貿易区の設立や経済一体化の実現、それに共同市場の構築を促すことを、私たちは目指しているのです」
先ほどご紹介したように、中国アセアン自由貿易区は、中国にとって初めての自由貿易区だということですが、実はアセアンにとっても、外部と自由貿易区をつくるのは今回が初めてなのです。中国とアセアンを一つのかたまりとして見れば、人口は19億人、GDP・国内総生産は約6兆ドル(約540兆円)に達します。この人口が多く、経済規模も大きい地域で来年、自由貿易区が設立されると、貿易品目の9割も関税が免除され、中国とアセアン各国の間でサービス貿易市場も開放されることになります。これについて中国商務省貿易発展事務局の張超美副局長は、次のように語っています。
「今回の博覧会では、自由貿易区をテーマとした展示、具体的に言えば貿易の自由化と投資の利便性に関する内容が多かった。博覧会の開催は、中国とアセアンの経済協力を推し進め、自由貿易区の設立に大きな貢献をしていると思います」
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