中国国務院はこのほど、エイズ予防活動のさらなる強化を求める文書を発表しました。これによりますと、2015年までに、重点地域での感染率上昇を食い止め、2020年までに、全国の感染率を効果的にコントロールします。これについて、専門家は「現段階で、中国のエイズ感染率はほぼコントロールされている。この戦略的目標は実情に合致するが、課題も少なくない」とみています。

　ここ数年、中国では、エイズ感染者の数は増加の傾向を見せています。統計によりますと、感染者と患者は凡そ74万人に達しています。これに対して、政府は、避妊用ゴムの配布、抗HIVウィルス剤の無料提供・治療などの対策を取っていますが、感染者の増加歯止めをかけることは大変難しい状態です。

　これについて、中国疾病予防センター性病エイズ予防センターの呉尊主任は、「現段階では、性的感染が主なルートになっている。感染は感染しやすい人から、普通の人に移っている傾向が強く、現状は厳しい。特に、感染者から患者になる人がますます増えているし、病死者の数も増えつつある」とした上で、「死亡の原因は主に、患者が差別を気にして検査を受けようとせず、治療のチャンスを逃したためだ」と分析しています。

　予防を強化するため、国務院は、予防政策をとることを求めています。検査範囲を拡大すること、母子感染の防止に力を入れます。また、抗ウイルスの治療範囲を拡大し、血液管理の強化も求めています。このほか、医療保障に力を入れ、基本の薬物リストに抗ウイルス剤などを増やすことを通じて、医療負担の軽減を図っています。

　これについて、呉主任は「今、免疫システムの機能が低下したため、感染者が悪性腫瘍などに感染されるケースが増えている。抗ウイルス治療が深化していくにつれ、このような感染者の死亡者が増えている。その治療費用はこれまでの治療法よりコストがはるかに高くなっている」と説明しています。

　さらに、国務院は、エイズ感染者と患者の生活の質を高めるほか、治療、就業、入学などの合法的権利を確保すると共に、差別をなくすことを求めています。ワクチンや薬物、快速診断試薬などの研究に力を入れると同時に、外国の経験も参考にしたりして、予防作業のレベルアップを希望しています。

　エイズ予防の戦略的目標について、文書は「2015年までに、重点的な地区と人での感染拡大を基本的に食い止める。2020年までに、全国の感染が効果的に食い止められ、感染が緩やかなレベルで推移する」としています。

　感染拡大に歯止めをかける策や戦略的目標の実現について、呉主任は「患者数の増加に歯止めをかける課題として、一つは差別をなくすことである。死亡者の凡そ80%は抗ウイルス治療薬を服用したことがない。もう一つは、男性間の同性愛のような特殊な人たちが感染しやすい。もし、これらの問題解決を新たな五ヵ年計画の戦略的目標に盛り込まれば、2020年までの目標達成は問題ないと思う」としています。（朱丹陽）

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