会員登録

 米軍後の時代のイラク、情勢複雑

2010-12-24 21:51:49     cri    

 イラクにとって2010年は政治プロセスの節目の年です。この年に、イラクはイラク戦争勃発後の三つの重要な出来事がありました。① 3月に、2005年以来初めての国民議会選挙が行われました。② 駐留米軍が8月末に撤退しました。③ 12月21日に、新政権が発足し、半年にわたる政治的空白状態が終了しました。しかし、現在のイラクは依然として課題が多く、複雑に満ちており、イラク人が期待している安定且つ繁栄までは、まだ道のりは遠いです。

 8月31日、アメリカのオバマ大統領は、イラクでの7年あまり続いた作戦任務の終了を発表しました。しかし、今でもイラクは世界で最も危険な国の一つになっています。今年に入って、イラクでは、武装勢力による自動車テロや爆弾テロが増えています。銀行強盗事件、外国報道機関での爆発、キリスト教徒の拉致などが相次いでいます。一ヶ月後の米軍撤退を控えた7月に起きたテロ事件では、535人が死亡し、2008年以来最大の惨事になりました。この中での米軍の撤退は無責任で、イラクは極めて危険な状態にさらされました。

 安全が日増しに悪化する中、政治再建プロセスも難航しています。3月7日、2005年以来の初の全国議会選挙が実施されました。選挙結果として、アラウィ元首相が率いる「イラキーヤ」は91議席を獲得し、第1党になりました。現職のマリキ首相が率いる「法治国家連合」は89議席でした。ほかの党も議席は得ていますが、議会定数325議席中、過半数の議席を獲得した党はありませんでした。イラク憲法によりますと、議会の最大陣営が首相を推薦し組閣することになります。しかし、マリキ首相とアラウィ元首相はそれぞれ自分が率いる党が第1党だと主張しています。新政権を一日も早く発足させるため、各党は厳しい交渉を通じて、11月10日に権力を共有する協定を結び、タラバニ氏が大統領に選ばれました。15日、タラバニ大統領はマリキ氏を新しい首相に指名しました。12月21日午後、国民議会は、マリキ首相が提出した組閣リストを採択し、マリキ氏が引き続き首相を担当することを承認しました。9ヶ月にわたる無政府状態にやっと終止符が打たれました。

 しかし、新政権の発足を宣誓する当日、「アルカイダ」系組織「イラクのイスラム国家」は、ウェブサイトで、「クリスマス前後に、アメリカ、イギリス及びヨーロッパ各地で、キリスト教徒を標的にしたテロを実施する」と、警告を出しました。米軍後の時代のイラクが軌道に乗れるかどうか、懸念されています。これについて中国現代国際関係研究院の李紹先副院長は「まず、新政権の発足でイラク情勢が抜本的に改善するとは言えない。選挙の後、各政党間の対立が激しくなり、最終的には外部の力と国内の力で、やっと妥協できた。つまり、マリキ政権の基盤はいままで最も弱いほうで、今後はより難しい課題に直面するだろう」とした上で、「イラクの政治的配置は基本的に変わっていない。三大勢力の構造にも変化がない。シーア派とスンニ派との争いは依然激しく、クルド人も自分の立場を主張している」と指摘しました。さらに、「イラク戦争後、安全の問題は再建の歩みを妨げる深刻な問題になっている。現在、5万人の米軍が駐留しているが、来年はもっと撤退していく。イラクの安全はさらに懸念されるに違いない」と強調しました。

 イラクの新政権は発足しましたが、現在の情勢を抜本的に改善することはできません。来年もイラク情勢は依然として複雑に満ちていると言えるでしょう。(朱丹陽) 

関連ニュース
写真トピックス
コメント
今週の番組
今日熱点
快楽学唱中文歌
特集ダイジェスト
LINKS