2004年から、中国政府は毎年、農業や農村の発展に関する文書を第1号文書として発表しています。また、農業や農村事業への中央財政の資金投入も年々増えてきています。
2009年、国際金融危機が拡大している中で、中国の食糧生産は豊作で、6年連続の増産となり、記録を更新しました。農民の所得も予想以上に上がり、一人当たりの純年収は6%増の5000元に達しました。中国農業大学の柯炳生学長は「このような実績を獲得できたのは、ここ数年政府による投入の拡大によるもので、物価の安定を守ることにきわめて重要な役割を果たしていると同時に、金融危機から抜け出すためにもプラスとなっている」と述べました。柯学長の話です。
「農業と農村経済の発展は、金融危機を乗り越えるために良好な基盤を築き、非常に重要な保障を提供したと思います。6年連続の食糧増産がなければ、物価は高騰したでしょう。そうなれば、とても厳しい課題が生まれます」
中国人民大学農業・農村発展学院の院長でもある温鉄軍教授は、農業と農村が中国の経済に果たした安定と基盤的な役割はそれだけではないと見ています。2009年の初め、中国は金融危機の影響によりおよそ2500万人の農民工(出稼ぎ労働者)が失業しました。このような状況が他の国で起こると社会的な混乱が生じかねませんが、中国ではそれほど大きな問題が起こりませんでした。これも農村に原因があると分析されています。温教授は次のように語っています。
「金融危機が発生し、世界的にも大きな影響を受けた際、中国では不景気になり企業が倒産してしまったりするケースもありました。しかし、リストラされた農民工にとっては、まだ戻れる場所があるのです。現在、中国の農村は多元化した発展を遂げていることから、農民工だった人は農村に戻っても農作業だけではなく、ほかの選択肢を選ぶことができます。ですから、「三農」、つまり農村、農業、農民を支持するという政府の政策はいい選択だと思います。」
このほど開かれた中央農村活動会議では、「三農」問題への一層の重視が呼びかけられるとともに、農産物の生産と供給、農民の雇用拡大、農村インフラ施設の整備など、2010年度の活動の重点が挙げられました。
中国農業大学の柯炳生学長の話です。
「金融危機はいつか乗り越えられるものです。しかし、農業が基盤であることを忘れてはなりません。現在の情況から見れば、中国の農業や農村の技術レベルやインフラ施設などは、将来の発展にとってはまだまだ不十分です。農業に何か問題が発生したら、社会や国民経済への影響は金融危機よりも大きいでしょう」
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