人民元の対ドル為替レートが最近、大幅に下がり、このほど北京で行われた中米戦略経済対話でも熱く議論されていました。これについて、中国商務省の陳徳銘商務相は、「近頃の人民元安は市場の正常な値動きで、中国は為替レートを引き下げることによって、輸出拡大を確保するようなことはしない」と表明しました。
陳徳銘商務相は4日に行われた記者会見で、「当面、ドルはユーロや日本円など世界の主要通貨に対し安くなっている。これを背景に、人民元の対ドル為替レートが値下がりしたことは、正常な値動きだ」と指摘し、次のように語りました。
「最近、人民元の対ドル為替に波が見られたが、これは正常な値動きだ。人民元安になったというよりも、ドルが比較的堅調になり、値上がりしたからだと言い返したほうが良いだろう」
陳徳銘商務相は、「2005年、中国は人民元為替レート形成システムに対し改革を実施後、終始、『主導的、漸進的、コントロール可能』という基本原則を堅持し、今に至っている。改革後、人民元の対ドル為替レートはすでに20%値上がりした。元高にせよ元安にせよ、すべて市場が主導的役割をしているからだ」 と述べました。
中国社会学院金融研究所の王国剛副所長もこの論点に賛同しています。王副所長は、当面の世界経済の後退と上半期の人民為替レートの切り上げが、最近の人民元安の主な原因だと見ています。
「アメリカでサブプライムローン危機が起きてから、中国に投資した一部の外来資金が火消しのため、国内に撤収した。こうした情勢の下、安くても人民元の売り注文が集中していた。このことが人民元の値下げの背景の一つと言えよう。それから、人民元がすばやく値上げされたことも考えられる。とりわけ、今年の上半期に、7%近くも値上げしたことを考えると、これは正常な反動だとも言える」
また、一部の分析筋は、「中国は人民元の切り下げにより、製品のコストを引き下げ、貿易依存型企業の輸出拡大をサポートしていく」と見ています。これに対し、陳徳銘商務相は「いま、中国の輸出企業が直面している困難は外部ニーズの萎縮で、コストが高いことではない。中国は輸出拡大を確保するため、為替レートを引き下げることはしない」と語りました。
これに関して、中国商務省の国際貿易専門家・梅新育氏も、為替レートは貿易問題を解決する上、必要なものでないと指摘しました。
「為替レートは輸出萎縮を一時的に食い止めることしかできない。長い目から見ると、やはり貿易内容の転換を推し進めていくしかない。輸出商品の構造を改善し、技術力の高い電機製品のシェアを高めていく必要がある」
梅氏は人民元為替レートの動きに注目すると同時に、貿易と投資に対する開放は双方向のもので、中国が開放の程度を高めると同時に、アメリカも中国の投資家に対する開放度を一層高め、ハイテク製品に対する輸出制限を緩和すべきだと指摘しています。(翻訳:Yan)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |