2005年7月、人民元レート形成メカニズムの改革が始まって以来、人民元相場は持続的に、小幅な上昇を続けており、人民元の対米ドル基準値がこの1月29日に、1ドル=7.7836元を記録しました。これにより、人民元対ドルの切り上げ幅は、改革前より5.96%上昇したことになります。人民元相場の持続的上昇が中国国内に及ぼす影響や、今後の中国の外貨管理政策などについて、人民網が次のように分析しています。
*中国人の生活や産業活動への影響
まず、人民元の切り上げにより、中国人が海外に出た時の購買力が高くなります。中国青年旅行社出境部の韓葵・副総経理(副社長)は、「海外旅行が相対的に安くなり、米国や香港などに旅行した場合、観光客はこれまでよりもたくさん買い物できるようになり、値頃感が増すだろう」と話しています。
また、人民元が切り上げられた後、輸入品の価格が相対的に安くなります。自動車を例に取りますと、人民元上昇の勢いが強まるにつれて、自動車及びその部品の輸入コストも継続的に低下するため、国内の自動車価格の値下がりが期待されます。
一方、企業にとっては、人民元の切り上げが輸入コストを引き下げるものの、輸出にはマイナスに働きます。国内企業は、絶えず競争力を向上させ、輸出価格の上昇や先物外国為替取引などの手段を駆使して、損失低下に努めることが求められます。
また、土地や株券などの資産は資金流動の影響を受けやすく、人々の生活に波及することが多いと見られています。人民元上昇への期待から、利益を求める海外の資金が様々なルートで中国に流れ込み、そのため、国内資金が相対的に充実される局面が期待されます。これにより、中国の株式市場が強気相場に向かうことが見込まれています。南方基金公司の蘇彦祝・基金経理は「中国の株式市場は過去一年に大幅に上昇したが、これには制度改革だけでなく、人民元の値上がりや流動性の拡大も重要な要因だ」と指摘しています。
が、一方では、市場の好調から、不動産価格も上昇し、人々の不満は増大することも心配されています。ここ数年間、不動産が海外資金の投資先になり、一部都市の不動産価格の上昇を後押しする原因の一つになり、中国政府は海外資本の不動産市場投資の規範化を図る規定を設けざるを得なくなったほどです。
*外貨保有、国主導から民間へと規制緩和
人民元レート形成メカニズムの改革を始めた後、中国は相次いで、改革に対応した措置を打ち出し、レートの動きは現在ますます活発化しています。近年には、個人による対外取引が急速に増加し、個人事業における外貨流入と外貨決済の規模が急速に拡大するなどして、個人が外貨流入の重要なルートの一つになっています。
人民元の持続的上昇と外貨準備の継続的増加を受けて、中国は現在、民間の外貨保有を促す政策に力を入れていると同時に、個人の外貨利用の管理手続きを簡略化しました。
これまで、個人保有の外貨管理は、流出の抑制に重点が置かれていたため、益々多様化した個人の外貨利用のニーズに、充分対応できなくなりました。
現在、中国の外貨準備高は1兆ドルを超えており、増加し続ける外貨準備は、資金の流動性を過度に拡大し、金融コントロールを難しくしています。これを背景に、民間の外貨保有を促す政策が実施されるようになりました。中国の中央銀行・中国人民銀行によりますと、この政策は、国による外貨保有を中心としたこれまでのやり方を改め、外貨の保有・使用に関する政策的制限を徐々に緩和し、民間により多く外貨を保有させようとするものです。
2006年5月、中央銀行は個人の外貨購入限度額を年間2万ドル相当額とし、限度額内であれば書類審査を廃止し、手続きを大幅に簡略化しました。国家外匯管理局の統計によりますと、06年5?12月の国内居住者の外貨購入総額は、前年同期比3.2倍、外貨購入件数は同3.6倍となっています。
07年2月1日から、規制緩和が更に進み、国内居住者の外貨購入限度額が年間2万ドル相当から5万ドル相当に大幅に引き上げられます。関連手続きもより簡略化され、国内居住者の外貨利用ニーズを満たし、一般市民の外貨保有促進にプラスになるものと期待されています。
中央銀行の報道官は、「これは国と国民との利益になる措置だ。個人の外貨管理に便利なだけでなく、国の国際収支の基本的なバランス促進にもプラスになる。関連政策の不断の推進に伴い、海外旅行や海外留学などでの外貨の使用がますます便利になるだろう」と述べています。(人民ネットを参照に編集)
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