中国の琴曲との出会いについて、坂田先生は次のように話してくれた。「小さい時から音楽に興味を持ち、日本の伝統音楽は勿論、西洋音楽にも関心を持ったのです。1958年に中国の歌舞団が始めて日本を訪れました。当時両国にはまだ国交関係が結ばれていなかった時代でした。その時の団長は琴の演奏家で、彼が演奏した琴の音にすっかり魅了されてしまったのです。当時私はバイオリンを習っていたのです。この時から、男として琴を習い、古曲を演奏することを目標として追い求めていこうと心に決めたのです。」
坂田先生の話によりますと、今も中国の琴の演奏家との行き来が多く、よく中国を訪れ、中国の同業者と琴曲などについて話し合うのだそうだ。
坂田先生は今、中国の琴曲のことを研究している傍ら、何人かの生徒に琴曲の演奏を教えている。そして、個人演奏会を開き、中国の古曲を広げている。このほか、琴社を作り、活動を展開している。現在、年に一度「重陽琴会」を開く。そのレパートリーを見ると、「陽関三畳」、「梅花三弄」、「平砂落雁」などがあり、正直言ってびっくりした。これが日本人の坂田さんのレパートリーだと誰が思うのだろうか。演奏会を開く時は、すべて中国の昔のやり方で進め、ランの花、古琴台、菊花茶などで中国的雰囲気作りをする。機会があれば、一度は自分のこの目で見たい、聞きたいと思う。
私の要望に答えて、坂田先生は中国の古曲を一曲弾こうと言った。そして、机いっぱいにおいてある本などを片付け、大事な古琴を下ろした。その古琴はまた大変高価なものだと言って、ゆっくり呼吸を整えた後引き始めた。その優雅で独特な古琴のメロディーは私を魅了した。私は外国で外国人が弾いた中国の古曲を始めて聞いたのだ。中国では子供に何か楽器を覚えさせるには往々に洋楽器だが、しかし、日本にはこんな中国の民族楽器を愛し中国の古曲の研究に生涯をかけ、また中国の楽器の弾き方や古曲を日本人に教える方もいるのだ。それも何十年一日の如くだということから、敬服せざるを得ないと同時に、中国の古曲を広げている先生に感謝しなければならないとも思った。
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