今年は例年になく蒸し暑い日が続く北京。毎年この時期は、まるでサウナに入っているようにムシ暑く、人々はこの天気を「サウナ天気」と呼んでいます。1年を通して雨の少ない北京ですが、夕方からスコールのような激しい"にわか雨"が降り、こんなに湿気を感じるのも、やはりこの時期の特徴です。暑さ対策、涼をとる道具、冷たい食べ物など、夏の定番は色々ありますが、中国と日本ではそれぞれお国柄が出ます。昔から北京の夏を感じさせる夏の定番を紹介しましょう。
「氷棍児車」
アイスキャンディー売りが引いている手押し車のことで、冷蔵庫が無い時代は、氷の入った箱の中にアイスキャンディーを入れ、布団で覆ったものを積んでやって来ました。「氷棍~、氷棍~」という、おじさんの声が聞こえるとワクワクしたものです。冷蔵庫が普及した現在は、「氷棍児車」は姿を消しつつあります。
「酸梅湯」
梅の燻製を砂糖水に入れて作った清涼飲料水の一種。昔からある伝統の飲み物です。
「涼席」
日本のゴザのようなもので、座布団がわりに使うものや、ベッドのシーツ代わりに使うもの、リビングの床に敷いて使うものなど、様々な種類があります。夏になると、スーパーに「涼席」を売るコーナーもできますが、最近は使う人も、めっきり減っているようです。
「風油精」
小さな小瓶に入った緑色の塗り薬です。頭痛、歯痛、吐き気などを静める効果のある万能薬ですが、特に夏場は蚊にさされたときに使うと効果テキメンです。1個1・5元(日本円で約20円くらい)で、お土産にも最適。
「知了」
昔から変わらないのが「知了(中国名:ジーリャオ)」の声です。これはセミのことで、泣き声が「知了ー(わかってるよぉ)」と聞こえることから、この名前がつきました。正式には「蝉」という名前がありますが、日本の人にセミの鳴き声を尋ねると、ほとんどの人が「ミーン、ミーン」と答えるように、中国でもセミといえば「知了ー、知了ー」と、北の人も南の人も同じように答えます。
「夜市」
薄暗くなり始めた頃、北京の街角では「夜市」と呼ばれる露天営業の店が開き、夜遅くまで賑わいます。食事をする人や、ビールを飲む人など、知了の声を聞きながらの夕涼みです。
「披肩」
自転車に乗る女性が日よけ用に使うもので、肩から腕にかけ白くて薄い布を掛けています。もともと「披肩(ピージェン)」とは「ショール」という意味がありますが、この日よけ用品には、特に決まった名前はついていないようです。
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