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伸び伸びとした自然の茶樹

2011-05-06 15:50:22     cri    

 中国には広大な茶の産地があり、様々な場所で茶畑を見かけますが、大抵は写真によくあるような整然と手入れされたもので、企業の生産基地ならば、なおさらです。しかし、ここの茶畑はどうでしょう。畑と言って良いかどうかさえ迷うほど、茶樹は、山のあちこちに疎らに顔を覗かせているだけでした。茶畑は農家がそれぞれ所有していますが、労働力が不足しているせいもあって、殆どほうったらかしの状態だといいます。そのお陰で、ここの茶樹はほかの植物と一緒の環境の中で、自然に育つことができました。思うままに育っているからこそ、あの素直な草の香りがするようになったのですね。

 
山の奥にある黄山毛峰の茶畑

 上へ上へ、奥へ奥へと、山道を歩くこと1時間、人の気配がどんどんなくなっていきます。目に映るのは、各種の木々、雑草、散在する茶畑、そして、時々現れる茶摘みに励む農家の人びとだけでした。

黄山毛峰の新芽
©MORI Kiyoshi

 いよいよ茶摘みがスタートします。鄭さんは片手で枝をつかんで自分のほうに引っ張りながら、「ほら、伸びている芽がはっきりと見えるようになったでしょ。もう一方の手で芽を折るようにして採ってね。こんなふうに」と、丁寧に説明してくれました。 

 慣れない手付きに、凸凹の足元。始めたばかりのころは、入り組んだ枝の中から新芽を見つけるのは大変でした。「これはまだ小さいな、明日にしたほうがいいのかな」 気がつくと、体がこわばっていました。しかし、どんな物事もそのうちに慣れてくるものです。1センチほど伸びている芽が、いつのまにか自然に視野に飛び込んでくるようになりました。なんだか、茶樹と自分の距離が消えていくように思えました。

 茶摘みをして1時間、籠の底が見えなくなってきました。それでも、せいぜい一つまみ程度の量です。私たちが疲れてきたのを見て、お母さんは茶樹の間にある掌の大きさの鳥の巣を指差し、「子供が小さい頃、よく茶摘みに連れてきたんだよ。子供は鳥の巣を見つけると取り出そうとするけど、鳥が家に帰ってきたらどんなに困るだろうと、よく言い聞かせてやったんだ。ここではいろんな鳥の鳴き声が聞こえるよ」

 鳥の鳴き声を聞きながらの茶摘みと言えば、ちょっと素敵な響きに聞こえますが、正直なところ、かなりの重労働です。こんなに大変だったら、茶の値段をもう少し上げてもいいなぁと一瞬思いました。(文章:王秀閣)

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