中国に北海道ブームを巻き起こした映画「非誠勿攘」(日本名『狙った恋の落とし方』)は、実は中国国内の撮影場所も観光客で賑わっています。その一つが杭州の「西渓国立湿地公園」。杭州市の中心部からわずか5kmの距離にある世界でも珍しい都市にある湿地です。
今日は午前8時にホテルを出ましたが、すぐ渋滞に巻き込まれバスはなかなか進みません。これこそ都市湿地公園の証だななんて思いましたが、何とか30分ほどで公園に着き、すぐ遊覧船に乗りました。11.5kmの湿地内を合計100kmにもおよぶ水路が縦横に走っている、その水路をのんびり船でめぐるのは都会の生活に疲れたおじさんには、なかなか心地よいものでした。都心からわずか5kmのところにこんな場所がある杭州の人がうらやましいと思いました。
昨日の西湖遊覧と違って、今日はずっと比較的狭い水路を行きます。すると、アシやススキの茂みから鳥の鳴き声が聞こえてきて、どこかなあ…と探すのですがなかなか見つかりません。でも、それもまた楽しいものです。あきらめた頃にひょいと姿を見せる鳥に、何だかからかわれているような気がしてきますが、サギの仲間以外はほとんど名前は分からないものの、10種類ほどは見ることができました。
途中、「高庄」というところで上陸して、17世紀の文人・高士奇の別荘である西渓山荘を見学しました。高士奇は清代の李白とも言われる文化人で、康煕帝も南巡の際にここに立ち寄ったそうです。人の空気の全く感じられない湿地の中に、突然、登場した白壁の住居と庭園は新鮮な印象を与えてくれました。
最後に、お楽しみの「非誠勿攘」の撮影地を通りました。とは言え、それまで通った水路とどこが違うかよくわからないままに通り過ぎていましたが、確かに言われてみればこんな景色だったなあと思います。でも、北海道に行く時間もお金もない方は、ここでちょっと映画の気分を味わうのも悪くないでしょう。
西渓から高速道路を2時間ほど走って昼過ぎに淳安県に着きました。ここには1959年発電用ダムによって造られた人造湖・千島湖があります。当然、かなりの山奥なのですが、まだ杭州市内だそうで、中国の行政区画の広さを改めて感じました。ちなみに杭州市の面積は16,596平方キロ。日本の都道府県で一番面積の大きいのはもちろん北海道、2番目が岩手県ですが、その岩手県(15,278平方キロ)より大きいというのですから、さすが中国です。
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