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契約解除についての判例

2009-10-16 10:11:57     cri    

~契約解除についての判例~

 【事件の経緯】

 2007年5月、外資系の自動車企業A社は、乗用車の部品の売買契約をB社と締結した。契約金額は100万元であり、納品期日を2回設定し、第一回目の納品期日を2007年7月末、第二回目の納品期日を2007年9月末と約定した。

 B社は2007年7月には納品したが、2007年9月末に納品しなかった。A社はB社に対して、「貴社は2007年10月中旬に納品しなければならない。履行しなければ契約を解除する」という催告を行った。その後B社は2007年11月上旬になってようやく納品した。

 A社は契約解除を理由として部品の受領を拒否した。また、B社の納品が遅れたためA社は自己の顧客に対し既に違約賠償金20万元を払ったので、その20万元につきB社に損害賠償を請求した。

 双方は協議したが結論に至らず、A社はB社を相手取り、裁判所に訴えを提起した。

 【判決】

 裁判所は、確認を経て次のように認定した。『B社の履行が遅延したことが原因で、A社が自己の顧客に20万元の違約賠償金を支払ったことは確かである。A社が契約を解除したことは法的根拠があり、B社に賠償請求する権利を有する』。

 その後、裁判所の調停によりB社はA社に対し20万元の損害賠償を支払い、A社は元の契約どおりの価格で第二回目の部品を購入した。

 【解説】

 『中華人民共和国契約法』(以下『契約法』という)第94条に「下記の状況の何れかに該当する場合、当事者は契約を解除することができる」と定められている。

 ① 不可抗力により契約の目的が実現できなくなった場合。

 ② 履行期限満了前に、当事者の一方が明確な表示により又は自己の行為により主な債務を履行しないことを表明した場合。

 ③ 当事者の一方が主な債務の履行を遅延し、催告を経ても合理的な期限内に履行しない場合。

 ④ 当事者の一方の債務履行遅延又はその他の違約行為により、契約の目的が実現できなくなった場合。

 ⑤ 法律に定めるその他の場合。

 契約の履行の過程で、当事者の一方が主な債務の履行を遅延し、催告を経ても合理的な期限内に履行しない場合、相手側はその契約を解除することができる。よって本訴訟においてA社は当該規定に基づきB社に対し契約を解除する権利を有する。

 『契約法』第97条に「契約解除後、なお履行しない場合、履行を中止する。すでに履行した場合、履行状況と契約性質に応じて、当事者は、原状回復その他の救済措置を取るよう要求することができ、且つ、損害賠償請求権を有する。」と定められている。

 裁判所は当該規定に基づきA社の賠償請求を支持し、裁判所による調停を経て、A社は社会資源の浪費抑制の原則に沿って、元の契約どおりの価格で第二回目の部品を購入した。

 【コメント】

 契約の解除は締結や履行の過程でよく起こりうる事態であるが、双方契約当事者にとって重要な影響も避けられない。以下、契約解除に関して中国契約法のポイントを簡単にご紹介いたします。

 ・ 「契約の権利義務の終了後、当事者は誠実信用の原則を遵守し、取引慣習に基づき、通知、協力、秘密保全などの義務を履行しなければならない。」(『契約法』第92条)

 ・ 「当事者は協議により合意に達した場合、契約を解除することができる。当事者は約定により一方の当事者が契約解除する場合の条件を定めることができる。契約の解除条件が成立した場合、解除権者は契約を解除することができる。」(『契約法』第93条)

 当事者は本条に基づき、予め必要に応じて、即契約解除となるような事態を想定し、締結の際に詳細に約定しておくことができる。

 ・ 法律の規定又は当事者の約定による解除権の行使期限につき、その期限の満了前に当事者が解除権を行使しない場合、当該権利は消滅する。法律の規定又は当事者の約定において解除権の行使期限の定めがない場合、相手方の催告を経たのち合理的期間内に行使しない場合、当該権利は消滅する。(『契約法』第95条)

 ・ 当事者の一方が契約解除を主張する場合、相手方に通知しなければならない。契約は通知が相手方に到達した時に解除となる。相手方は異議がある場合、裁判所又は仲裁機構に契約解除の効力の確認を請求できる。(『契約法』第96条)

 ・ 契約の権利義務の終了は、当該契約における精算と事後処理に関する条項の効力に影響しない。(『契約法』第98条)

 契約解除における双方当事者の権利義務や法律責任についてご紹介しました。上述に挙げたような法令上の規定をうまく利用し、自社の利益を守り、リスクを避けるようにするとよいと思います。以上、ご参考になれば幸甚です。

 以上は上海共同総合法律事務所(日本福庚外国法事務弁護士事務所)の張福剛弁護士(E-mail:fugang.zhang@kyodo-lf.com )により提供されたものです。

 提携機構:上海共同総合法律事務所(日本福庚外国法事務弁護士事務所)

 ウェブサイト:http://www.kyodo-lf.com/

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