「ずいぶん急なことのように感じますが、それは譚家の伝統を伝えるためですか?」
「それも1つの理由ですが、僕自身、そろそろ『自分の家』がほしい年齢なんですよ」と彼は子供のような笑顔をみせました。「僕は時々疲れを感じて、帰る場所がほしいんです。2人で支え合い、僕を暖めてくれる家がほしい」
「どんな女の人が好きですか」
「それは一口では言えませんね」
「例えば?」
「例えば……あえて言うのなら、2つの条件を持つ人だと思います。まず、善良で親孝行な人、あとは僕にふさわしい人です」
「これだけ?ずいぶん簡単なように思えますが」
「簡単であれば簡単であるほど、難しいんですよ。僕は今年でもう29歳だし、祖父がとても焦っています。彼にとって、家(譚流老生)を受け継ぐことは何よりも大事なことなんです」
「もし将来、正岩さんの子供が生まれたら、京劇を勉強させますか?」
「そうですね……それはその子自身の問題だと思います」
「やはり勉強させようと思っているんですね?」
「もちろんです、さすがに100年以上の歴史がありますし」
正岩さんとの話が終わった時、すでに外は暗くなり始めていました。彼が考え込むときの複雑なまなざし、子供のような笑顔、また寂しげな横顔が、なんとも印象的でした。そして彼が「僕の名字は『譚』です」というの言葉は、いつまでも耳に残っていました。(楊 安藤)
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