老旦は専門に年上の女の役柄で、他の「旦」と大変違って、舞台姿と身振りが全て老人の特徴を強調しているのです。老旦が歌うのも唱えるのも地声で、音色と節は「老生」に近づくが、玉を転がすような女性の特徴を示し、京劇で「雌音」と呼ばれるのです。老旦の中で、歌いを主としたほうが普通で、例えば『釣金亀』の康氏、『望児楼』の竇太真などですが、唱えと表現を主としたのもあります。例えば、『西廂記』の崔氏、『李逵探母』の母親などです。

　武旦は立ち回りが堪能な勇ましい女性の役を演じる役柄です。立ち回りを主として、「打出手」（投げ、振り、蹴り、繋ぎなどの仕種）という特技をよく使っています。武旦中では、「短打武旦」というの一種類があって、普通短い衣装を着て馬に乗らなくて、立ち回りとセリフを主としています。例えば、『武松打店』の孫二娘、『三岔口』のおかみさんなどです。