秦皇島は、北京から270キロ離れた河北省の町で、海に面しています。紀元前215年、中国初めての皇帝、秦の始皇帝が、ここを訪れたことから、秦皇島と名付けられました。万里の長城のスタート地点としても知られており、観光業と加工業を中心とする人口200万人の中規模都市です。
来年の北京オリンピックの際、上海や、天津などとともににサッカーの予選会場となります。会場となる6都市のうち、最も小さな都市ですが、秦皇島は、これを町を挙げての挑戦であり、チャンスだと捉えて、急ピッチでオリンピック準備に取り組んでいます。
サッカー予選の会場に決まった直後から、会場建設が始まりました。あわせて6億3千元を投入し、4年間をかけて、2004年、秦皇島オリンピックセンターが竣工しました。オリンピックセンターは、3万人収容のサッカースタジアム1面、予備練習場2面、体育館、などから構成されています。メイン部分となるサッカー場は、真ん中が高く、回りが低い、帆船の形をしています。上は、膜で覆われ、強い日差しは入ってきません。
竣工して以降、数多くの大型イベントが催されました。たとえば、去年は、中日オリンピックチームによる交流戦、中国代表とタイやシリアの親善試合などです。
これらの大会を通して、運営側は数多くの経験を重ねてきました。秦皇島の黄栄副市長は、「これまでのテストについては、我々は施設の改善に多いに役立ち、選手たちにとっても、スタジアムを理解するという意味で、非常に意義深かったと思う。これらを通じて、オリンピックを成功に導く上で、大きな自信となった」と語ります。
勿論、テスト大会を行って自信を持ったというだけでは不十分です。試合の際は、北京オリンピック組織委員会や、国際サッカー連盟の役員などが現地に査察にきて、改善のアドバイスもしました。
北京オリンピック組織委員会、国際サッカー連盟の要求を聞いて、追加工事もおこないました。たとえば、控え室は2つから4つに増やしましたし、照明設備も手を加えました。また予備練習場の数についても注文を受けたので、近くの大学に何ヶ所かを新たに作りました。
今回の北京五輪のテーマの一つ、「環境にやさしいオリンピック」を実現するために、秦皇島は、緑化強化、汚水の浄化、ゴミの無害化処理など、環境保護に力を入れています。また185の監視カメラを通して、地域全体の治安維持につとめています。そして交通の整備のため、オリンピックセンターの西側と東側に2本の幹線道路を作りました。さらに「大会運営の柔軟剤」ともいわれるボランティアの募集も盛んに行われています。
大会まで、まだあと1年あまり。より万全を期すために、組織委員会はもちろん、市民全体での取り組みは続きます。
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