北京より一歩先に上海でオリンピック聖火が灯りました。6月29日、第12回スペシャルオリンピックスの聖火が採取され、世界各地を通るリレーが始まりました。今から3ヶ月後、聖火は、メイン会場であるメインスタジアムの聖火台に点火されることになります。
スペシャルオリンピックスは、知的障害者が参加する国際的なスポーツ大会で、全世界人口の3%にあたる1億7千万人にとって最大のスポーツの祭典です。
1968年、アメリカのケネディ前大統領の妹、ユニス・ケネディ・シュライバーさんの提唱で、障害者にスポーツをする機会を提供し、それを通じて自信を育んでもらい、社会参加を促すことを目的として、第1回スペシャルオリンピックスがアメリカのシカゴで開催されました。
その後、夏季大会が11回行われ、また1977年には冬季大会も始まり、計8回開かれました。現在は、夏と冬の大会を2年ごとに交互に開催しています。
スペシャルオリンピックスは、発祥国アメリカを中心として、先進国で開かれていましたが、10月、上海で開かれる大会は、初めて発展途上国で行われるものとなります。
中国は、以前からスペシャルオリンピック運動を重視しており、国内にいる1300万人の知的障害者のうち、50万人がスポーツに取り組んでいます。国内大会を行うほか、1987年から毎回、スペシャルオリンピックスに選手団を派遣しています。
2002年、第12回夏季大会の誘致に成功してから、国家首脳をはじめ、上海の各界が熱心に準備に取り組んできました。開幕まで、あと3ヶ月となった今、大会施設、運営、ボランティアなどの面で準備がほぼ完了し、あとは選手が来るのを待つばかりです。
主催側は、できるだけ多くの人にスペシャルオリンピックス、そして、障害者の支援に理解をしてもらおうと、PRに力を入れています。大会開幕100日前の23日、上海各地で多くのイベントが行われました。浦東新区で行われた「スペシャルオリンピックスを応援しよう」と題した市民ジョギング大会には、1万5千人が集まりました。全長6.5キロのコースを、老若男女、障害のある方も参加しました。その中で、バルセロナオリンピックの5000mの金メダリスト、王軍霞さんの姿が見えました。王さんは、「たとえ障害があっても、私たちと同じ青空の下でともに生活している。彼ら一人一人、大きな夢を持っている。私たちが走ることで、このスペシャルオリンピックスの存在を大勢の人たちに知ってもらえば」と応援のメッセージを送りました。
障害者自身は、スポーツを通して、体を鍛え、健康を維持することができます。と同時に、彼らはスポーツを通じて、大勢の人に認めてもらい、社会参加ができます。
今回のスペシャルオリンピックスには、選手とコーチあわせて1万人が参加しますが、組織委員会は、1万5千枚のメダルを用意しています。成績の如何に関わらず全員が表彰されるというのがこのスペシャルオリンピックスの特徴です。この大会は、決して、順位を競うだけのものではなく、ハンディを持つ人たちが日ごろのトレーニングの成果を見せる『発表の場』であり、まさに『参加することに意義がある』大会です。
もちろん、競技である以上、金メダルは大きな目標ですが、実はそれ以上に、自分自身に勝つことと、その世界最高の舞台で自分を精一杯表現することが、参加者たちの最大の目標と言えるでしょうか。
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