ハイアールは本社、山東省の青島にある中国の家電メーカーです。1984年に創設され、今や白物家電の分野では、世界4位の規模を有す企業グループに成長しました。現在、中国を含め、世界各地で5万人の従業員がいます。ハイアールはまた、世界で最も有名な中国ブランドのひとつで、世界160カ国に流通しています。
2005年8月12日、ハイアール・グループは青島で、北京五輪組織委員会と正式に契約を交わし、五輪史上初の白物家電の公式サプライヤーとなりました。今回のオリンピックに、ハイアールは冷蔵庫、エアコン、洗濯機など31種類の製品、計6万台を北京や青島の37の競技場に提供しました。環境に優しく、エネルギー効率が良いことがこれらの製品の特徴です。
ハイアールの本部所在地・青島は、北京オリンピックのセーリング競技の開催地でもあります。ハイアールが地元で開催される大会に協賛を決めた理由に、自社のブランド力のレベルアップに大きな期待があったからのようです。
ハイアールグループの張瑞敏CEOの話です。
「グローバル化したブランドの構築が、我々の目指す目標です。オリンピックは私たちのグローバル化のプロセスを速め、レベルを高めるチャンスを提供してくれました。地元で開かれるオリンピックに協賛することで、私たちの目標実現にとって、大きな促進効果が期待できるからです。」
会社が設立して間もない頃、ハイアールグループは、イノベーション重視型のグローバル企業を目標に掲げました。
20数年の努力は、今、成果を実らせました。ハイアールは世界160カ国での流通を実現しただけでなく、アメリカで産業パークを作り、ウォルマートを含めた十大小売業のチェーン店に販売されるようになりました。ヨーロッパでは、イタリア、オランダ、ドイツ、デンマークを中心に、総合設計研究開発センターを設置しました。アジアでは、東京とソウルに研究開発センターと販売会社を有しており、インドと東南アジアなどの地元家電メーカーを買収し、現地化に成功しました。いま、ハイアールは世界で8つの設計研究開発センターを有しています。この中、中国唯一のデジタル家電国家レベルの重点実験室も含まれています。
ハイアールの張瑞敏CEOがこう語りました。
「ハイアールはブランド作りをイノベーションにかけています。私たちは製品を輸出して、外貨の獲得を狙うのではなく、ブランドの確立を目指しています。メイド・イン・チャイナを狙うのではなく、クリエイティブ・イン・チャイナを目指しています。」
ハイアールは北京オリンピックに提供した製品はいずれも省エネ、環境配慮型の製品です。中でも、二酸化炭素を冷媒にする新型冷蔵庫は五輪のために開発した新製品です。このほか、五輪競技場内に取り付けられたハイアールのセーラー式クーラーは、年間、240万キロワットアワーの電気を節約し、2100トンの二酸化炭素の排出を減らすことができると見られています。
ハイアールグループ・業務用空調部の杜光林総経理の話です。
「五輪競技場の約72%でハイアールの業務用空調が使われています。これらは、すべて、競争により獲得したプロジェクトです。私たちは省エネで、環境にやさしい製品を作っているため、競争に勝つことができました。これらの空調は、オリンピック組織委員会からも良い反響を得ました。」
ハイアールは選手村と報道関係者用施設に18のランドリーを設け、1500台のグリーン洗濯機を設置しました。この中には、530台がハイアールが今回の五輪に向けて、開発した「洗剤のいらない」洗濯機です。つまり、洗濯機に搭載した電解装置を使い、普通の水を弱アルカリ水と弱酸性水に分解させ、洗浄と殺菌の効果をはかります。排出された水は中性ですので、環境に対する負担を減らすことができました。ちなみに、「洗剤をいらない」洗濯機は普通の洗濯機より50%以上の水と電気を節約することができます。
ハイアールグループはまた、社会貢献活動も重視しています。これまで、貧困地区の子ども向けの義務教育の普及を目指す希望プロジェクトの小学校30校に、ハイアールオリンピック電子図書室を寄贈しました。これらの図書室にハイビジョンのテレビが取り付けられています。
ハイアールグループのアジア太平洋地区のマーケット担当の張鉄燕さんの話です。
「まずはオリンピックの精神を伝えることです。そのキャンペーンの一つは、中国選手の金メダル数と見合った数の希望小学校を寄贈することです。」
一方、五輪への協賛はハイアールに大いなる見返りももたらしました。張鉄燕さんの話によれば、オリンピックはハイアールグループのビジネス分野を開拓し、青島のオリンピックセーリングセンターの内装工事を始め、ハイアールは数多くの五輪関連工事に参加することができました。
このほか、五輪協賛で現した技術力及び環境への配慮、顧客第一の姿勢が、ハイアールの全世界におけるイメージを高めることにつながっているとも見られています。(Yan)
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