米大手投資銀行、証券会社のリーマン・ブラザーズの破綻が発端となり、アメリカは「百年来、最大の金融危機に陥った」とも言われ、世界経済もその深刻な影響を受けることになりそうです。この金融危機が、中国にどのような影響を与え、中国はどのような対策を行っているのか、過去一週間の動きを見て見ましょう。
中国系銀行の影響
22日の『中国青年報』によりますと、中国系銀行のうち、リーマンブラザーズの債権を保有している銀行は7行に達しています。
このうち、中国建設銀行は1.914億ドルで、このうち、普通債権は1.414億ドル、劣後債は0.5億ドルとなっており、会社の純資産の0.29%を占めています。
中国工商銀行(海外支店を含めて)はリーマンブラザーズ証券株式会社及びリーマンブラザーズの信用と関連している債権を1.518億ドル保有しており、中国工商銀行グループ総資産の0.01%を占めています。
中国交通銀行がリーマンブラザーズ株式会社発行の債権7002万ドルを保有し、その総資産の0.02%を占めています。
このほか、『新京報』によりますと、中国銀行グループは、リーマン・ブラザーズ及びその子会社の発行した債券、計7582万ドルを保有し、このうち、中国銀行香港が6921万ドルを保有しているということです。さらに、中国銀行ニューヨーク支店はリーマン・ブラザーズホールディングに対し5000万ドル、その子会社に対して320万ドルの融資をそれぞれ提供しました。なお、リーマン・ブラザーズを対象にした債権と貸付の総額が、2008年6月30日現在で中国銀行の総資産に占める割合は0.01%で、グループの純資産に占める割合は0.19%であるため、財務に対して重要な影響が出ることはないと中国銀行は明らかにしました。
リーマンブラザーズの破綻を受け、中国の中央銀行である中国人民銀行の馬徳倫副頭取は、このほど、中国の『金融時報』で文章を発表し、「中国系銀行の海外での取引量が大きくなく、今回、サブプライムローン関連の債権は100億ドルを超えないだろう」としています。ただし、直接、金額で現せる損失よりも、リーマンブラザーズの破綻が世界の金融危機を引き起こし、これにより受ける間接的な影響の方について、今後も引き続き見守る必要があるということです。
中国の動き
リーマン・ブラザーズの破産申請発表と同じ日(9月15日)、中国人民銀行は、中小金融機関向けの人民元預金準備金率及び一年ものの人民元貸付の公定歩合を引き下げることを発表しました。さらに、下落が続く株式市場のてこ入れ策として、19日から、株式購入時の印紙税を廃止しました。上海株式市場はこれを受け、19日の総合指数は前の日より9.46%上昇し、この7年で最高の上げ幅となりました。
これらの金融政策とは別に、国有投資会社の中央匯金投資公司が市場の安定化に向けて、工商銀行、中国銀行、建設銀行の株を取得し、さらに、中国証券監督管理委員会は、国有大型企業に上場した部門の株式の買い戻しを奨励する指示を出しました。
わずか一週間で相次いで発表されたこの一連の対策は、力強い役割を発揮し、今後も継続されていくものと大いに期待されています。
専門家筋は、世界に広まった金融危機が、すでに、実体経済に影響を及ぼし始めたため、各国の中央銀行と財政省は、相次いで、市場を救うための措置をとり始めたと見ています。益々強まる世界経済の一体化により、中国が一人勝ちするような発展の道を歩むことは、もはや考えられません。中国はすでに、世界経済、世界金融の先端に押し出されていることを、多くの中国人が実感しました。
また、もし、政府がタイムリーな措置をとらなければ、中国はアメリカに発したサブプライムローン危機の被災地になりかねず、世界経済もこれにより、中国という最も重要なエンジンを失いかねないという声も聞こえます。(Yan)
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