地震が地元の農業や中国全国の食料供給にどのような影響を与えたのでしょうか。
まずは、いつかのデータを押さえておきましょう。
四川省の農業GDPは全国の農業GDPの6.1%を占めています。なかでも、四川は中国5番目の食糧産地で、食糧の出来高は全国の6%(米だけでは7.3%)を占めています。さらに、四川は中国最大の豚の養殖基地でもあり、2007年、中国全土の豚肉の11.6%が四川が提供されたものです。
ただし、食糧供給と豚肉の価格という二つの視点から見ますと、専門家たちは、大地震は全国の食糧供給にそれほど大きな影響を与えていないが、豚肉の価格には懸念された影響ができるかもしれないと見ています。
■食糧供給について
まず、食糧については、今回の被災地は山間地帯なので、もともと田んぼの面積が限られています。被災地の食糧の生産高に限ってみると、全国に占める割合が1.6%程度に止まっています。
さらに、四川農業庁の話によれば、地震が起きた後、救援部隊は小麦や菜の花の刈り入れで農家を緊急に手伝いをしました。今や被害のとくに深刻な山奥を除いて、作付け面積の97%の小麦が刈り入れできたと見られています。
さらに、ここ4年、中国の食糧の生産高が4年連続増加し続け、去年は総量が5億トンを突破し、今年も、小麦が5年連続して豊作が期待できます。豊富な食糧備蓄があるため、食糧供給のみで見ますと、全国にはそれほど大きな影響を与えないという見方が強いです。
■豚肉供給について
一方、四川省牧畜食品局によりますと、大地震は豚の養殖業に大きなダメージを与えました。去年、四川省が出荷した豚は9911万頭で、豚肉の生産高は740.6万トンでしたが、大地震により、出荷数は約1000万頭が減り、豚肉の生産高も70万トン原産する見込みのようです。
大地震で、豚小屋の損壊だけでなく、家畜も大量に死んだようですね。なかでも、豚の養殖をしている農家にとっては、繁殖用の豚をたくさん失い、子豚の繁殖基地が損壊したことが痛手となったようです。さらに、地震で道路が寸断されたため、養殖用の飼料がなかなか手に入らないことも、養殖業に不利な影響を与えています。
そういうわけで、豚肉価格が元通りに戻るのは、予想以上に時間がかかることになりそうです。というのは、去年から、中国の豚肉は一時的に値段が急上昇し、今年の年頭の雪災害で、豚肉が再び急騰しましたが、その後、政府の政策により、4月以降は価格が徐々に下降し、1月始めのレベルにまで落ち着いてきたところでした。しかし、この大地震により、市場の全体供給量が減ったため、豚肉の価格上昇が懸念されています。
一方、四川省の豚肉のうち、約三分の一が他の省に供給しています。中でも、広東省は、ソーセージを加工する時に使う冷凍豚肉は、7割が四川から仕入れているため、大地震の影響で、コストが高くなり、下半期では、市場での販売価格の上昇が予想されています。
■短期的な援助よりは長期的な対策を
これらの問題を解決するため、四川省の牧畜業の専門家は、短期的な援助というよりも、長期を見据えた対策を打つことの大事さを訴えています。たとえば、養殖農家に対する資金援助の拡大や、大規模な養殖プロジェクトに対しては低利息、もしくは利息補給の形で融資をすること。また、豚小屋を作るために、大量な建築材料が必要ですので、それを他の省がいち早く支援すること。さらに、技術面での提携も考えられます。沿岸部の都市では、進んだ養殖経験と技術があるので、大面積な養殖や、大規模の養殖とそれに伴う汚染問題や、飼料の合理的な配合などで提言をしていくことなども求められています。(Yan)
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