北京市は増えつつある自動車保有量に伴う交通渋滞を解決するため、公共交通の利用を優先させる政策を強化させました。10月7日、地下鉄5号線の試運転をキッカケに、北京市の地下鉄と電車は新しい料金体系を導入しました。これまで5段階あった料金を一律2元にまで引き下げると同時に(2008年に開通予定の空港行き電車は除く)、これまで極めて少数の人にしか発行していなかった「地下鉄定期券」を廃止しました。この低料金制度は、北京五輪終了後も引き続き継続されるため、市民から歓迎されています。関係者によると、今回の措置は北京市が公共交通を優先し、市民の生活を便利にし、北京を住み易い街にしていくための意気込みの表れだと見ています。北京市はこの結果、全国で最も公共交通の料金が安い都市になりました。
北京市は1400万の人口を抱えながら、現在、地下鉄と電車の総延長は114キロしかありません。来年の北京五輪に向け、北京は、地下鉄などの整備に取り組んでいる最中で、2008年までには総延長を200キロに伸ばす計画です。
地下鉄と電車の発展の成果を一般市民に幅広く享受してもらい、道路交通の渋滞を緩和させ、大気汚染を改善するため、北京市政府は「公共交通の優先、市民の利便性を図る」ことを原則に掲げ、低料金政策の実施に踏み出しました。現在、北京の地下鉄と電車の料金体系は、6年前に制定したもので、3元を基本料金に、全部で5種類の料金に分けられています。今回の料金体系の変更について、北京市政府は単一料金制と複数の料金制の二つの案を打ち出して公聴会を開いた結果、多数決で「2元の単一料金」案を採択しました。これにより、市民の交通費の支出は削減され、とりわけ、長距離の利用客にとっては、割安効果が顕著だと見られています。一方、以前から多くの市民から「公平性を損なう」として中止を求める声が強かった地下鉄定期券とは、過去に全部で20万枚ほどしか発行されておらず、現在、毎月80元で地下鉄乗り放題のサービスが受けられます。今回の料金体制の変更に伴い、この定期券の制度が廃止となりました。
地下鉄の低料金制の導入に伴い、北京市政府は年間10億元の財政援助を支出することになると見られています。これに先立ち、今年の年初からは、北京市政府は公共バスの利用を奨励するため、学生と一般市民向けの料金を、それぞれ8割引きと6割引きの特典を設けました。このために、北京市財政は今年、13億元の補助金を拠出することになっています。
一方、北京市の自動車保有量は増えつつあり、今年5月末までで300万台に達し、しかも、現在も毎日1200台のスピードで増え続けています。専門家は、自動車の急増に伴う交通渋滞を解決する抜本的な方法は、新しい道路の建設や、自家用車の走行規制にあるのではなく、公共交通を優先して発展させることが一番の選択肢だと見ています。こうした考え方により、北京市政府は一連の行動に踏み出したものと見られています。ちなみに、今年年初からのバス低料金制の実施により、公共交通による旅客輸送量は1日当たり200万人増え、1148万人に達しています。今回の地下鉄の新料金体系のスタートにより、更なる効果が期待されています。(経済観察報、北京晩報などに基づき、Yan整理)
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