大学で服飾設計を専攻した何薇薇さんは、4年前に広州で小さな店「薇薇色彩工作室」を開店しました。何さんの仕事は「カラーコーディネーター」、中国人には馴染みの薄い新職業です。この4年間、何さんは専門的なカラーコーディネートのノウハウを生かしてデザインなどを行い、月収は2万元に達したと言います。

　中国社会の変化に伴って、新職業が誕生し、新職業はまた、中国の社会・経済・生活を変化させています。中国ではカラーコーディネーターのほかにも、WEB管理者、掲示板管理者、アクチュアリー（保険数理士）、留学コンサルタント、フラワーデザイナーなど、多くの新職業が加わり、かつてあった「食糧・食用油配給切符管理員」「物資供給員」等の職業は時代とともに廃れていきました。

　中国労働保障部が新職業の情報公開制度を確立して以来、現在までに9回、計96種類の職業が発表されました。関連資料の統計によると、現在中国には1900種類の職業があり、毎年約30種類の職業が増加しています。

　社会の変化は中国人の就業能力の向上を促しました。秦輝揚さんは父親から自転車修理屋を受け継ぐ予定でしたが、経営難に直面していたため、秦さんは、自転車修理の仕事を継がずにきっぱりと店をたたみました。現在は、職業技術学校で学んだ自動車整備の技術を生かし、ローンを組んで自動車整備店を開業しています。彼の年間収入は、父親の収入の8年分に相当すると言います。

　新職業が次々と誕生し、職員への要求も高まりました。広東省仏山市にある信美陶磁有限公司は、陶磁デザイナーを募集していました。同公司の人事担当の方海部長は、人材市場（求人説明会）で数日間探しましたが、良い人材が見つかりませんでした。方さんは、「私たちの製品は主として、輸出向けに作られている。そのため、デザインの良し悪しが国際市場での競争力の決め手となっている。が、国内の陶磁デザイナーは不足しており、国外のデザインを多額を払って購入しなければならない」と残念そうに述べています。現在、中国の陶磁デザイナーは3万人以下で、業界全体の3％を占めるにとどまっているといいます。

　中山大学管理学院の謝康教授は、「新職業誕生のスピードは、社会の発展スピードと関係がある。社会生活の変化によって、様々なニーズが増え、これに促されて、細かな専門サービスが生まれている」と述べました。

　劉さんの息子は携帯電話のショートメール・メッセージを制作する「ショートメールライター」。劉さんは数年前、息子の仕事について「正式な仕事ではない」と感じました。現在では、祝日などにショートメールでメッセージを送り合うことは、中国の人々の生活に欠かせない一部分となっており、ショートメールライターは自らの知恵を使って多くの人々に喜びを届けています。数年後が経った今、劉さんは、息子の職業をこれまでと違う目で見るようになり、隣人にもショートメールを見せて、「息子の書いたショーとメールですよ！」と、自信を持って言うようになったと言います。

　社会経済界の関係者も、「産業・業界の変化が職業に変化をもたらす。新職業誕生の背後には、巨大な産業の現われがある」と指摘しています。その一例を挙げますと、全国の水族館約60カ所には毎年約100万人の観光客が訪れています。ここから「水生哺乳動物トレーナー」という新職業が誕生しました。また、新職業「コールセンター・オペレーター」誕生の背後には、毎年20％の速度で成長を続けるコールセンター業界があります。現在コールセンターのオペレーターは100万人を超えました。（人民網より）