2007年2月下旬、中国の中央銀行である中国人民銀行は全国50の大、中、小都市で住民の収入と資産運用の状況について、アンケート調査を行いました。この調査では2万人から有効回答が寄せられ、調査結果からは次のような傾向が明らかになりました。
一、都市部住民の収入は著しく向上
所得が増えたと答えた住民の割合は、3ヶ月前に実施した前回の調査では2.6ポイントの上昇でしたが、今回の調査では8.7ポイントに上昇し、ここ6年で最高の伸びを記録しました。過去のデータを見ると、収入の向上には、旧正月などといった季節的な要因が影響していますが、今回増えたと実感した人が大幅に増えた理由については、住民の最低生活保障、定年退職者の年金改革や公務員の給与改革など一連の政策が実施されたことが考えられます。
また今後の収入増加に対して自信を持っているかどうかを示す指数は、25.1%で、前回調査より2ポイント下がっているものの、同じ時期と比べると、この調査を始めて以来最高レベルとなっています。つまり3ヵ月後の収入の見通しについては、季節的な要因で下降する可能性もありますが、全般的には、楽観的な態度で見ていることが分かりました。
二、物価上昇に敏感に反応
また今回のアンケート調査の結果によれば、都市部住民が物価に対して満足しているかどうかを示す指数は、15.9%で、前回調査より1.8ポイント、昨年同期より6.7ポイント下がり、9割弱の住民が今の物価レベルが「高すぎる」か、「高め」だと思っていることが分かりました。中でも、低所得層の住民は物価の上昇により敏感に反応し、とりわけ、世帯の月間収入が2000元以下の住民で、物価レベルが「高すぎる」と思う割合は、全体の平均を上回っています。
また、44.3%の住民は今後、物価が引き続き上昇すると見ており、この数字は昨年同期より15.6ポイントも高くなっています。
三、株式とファンド投資に情熱を燃やしている
今回の調査では、住民の資産保有形態についても聞いていますが、銀行貯金が59.4%を占めて、もっとも高い比例を占めているものの、この割合は過去三回の調査で連続して減少傾向にあります。
その背景には、主として、以下の二つの要素が考えられます。先ずは、金利の低さです。58.4%の住民は、現在の預金金利が「低め」だと見ています。次には、株式市場の好調さです。このため貯金は株式市場にどんどん流れ込みました。今回の調査結果によれば、住民の保有している金融資産の中で、ファンドの占める割合が、前回調査の時の10%から16.7%に大きく伸びて、過去最高となりました。昨年同期よりも12.7ポイント上昇しています。また、株式投資が占める割合も2ポイント上昇しました。
現在の物価と金利レベルの下では、貯金を引き出して株式やファンドに投資したほうがより良い収益率があがると考える住民は30.3%を占めました。この割合は、前回調査より11.7ポイント伸びて、同じく過去最高となりました。
四、不動産投資に対しては、所得により異なる反応
一方今回の調査では、住民の不動産購入に対する意欲は全体的に下がったことが明らかになりました。今後3ヶ月以内に、住宅を購入する予定のある住民の割合は、前回調査では17.5%を占めていましたが、今回は1ポイント下がって、16.5%になりました。この問題については、都市や所得水準の違いによって、住民の回答に大きな開きがあることが分かりました。調査対象となった7つの大都市のうち、北京、天津、重慶の住民の住宅購入意欲は前回調査よりそれぞれ1.0、2.5、1.2ポイント高まりましたが、上海、広州、武漢、西安はそれぞれ0.3、1.5.2.2.6.2ポイント下がっています。また所得別に見ると、世帯の月間収入が2000元以下の住民の住宅購入意欲は年々下がっていますが、2000元以上の世帯は逆に年々上がっています。今後三ヶ月以内に住宅を購入する計画のある家は、月間収入が2000ー5000元の世帯では43.6%、5000ー10000元の世帯では22.1%となり、合わせると全体の65.7%を占めています。
このほか、3ヶ月以内に自動車を購入する意欲のある住民は2006年以降、10%以上のレベルを保っていますが、今回の調査では11.4%に上昇し、これも過去最高となりました。なかでも、月間収入が2000ー5000元の世帯では37.5%、5000ー10000元の所帯では30.9%を占め、マイカー購入者の中心となっていることも明らかになりました。(中国人民銀行のウェブサイトより、翻訳整理:王小燕)
|