中国では、年収12万元以上の高所得層を対象に、個人所得税の自己申告制を実施します。申告期間は今年の財政年度終了後の3ヶ月間(来年1月1日から3月31日まで)で、期間内に所定の納税申告をしなかった場合は、1万元以下の罰金を科するとしています。
今回の個人所得税の改革は、公平性と効率的な徴収に重点を置いています。これまで、中国の個人所得税の徴収は、勤務先が代理で支払う方法と自己納税申告の二つの方式がありましたが、自己申告の適応対象については明確な規定がありませんでした。
今回の自己申告制導入にあたっては、2005年10月、『中華人民共和国個人所得税法』の改定によって、まず納税者の自己申告の範囲が拡大され、その年の12月には国務院で採択された個人所得税実施条例で、個人所得課税の基準が12万元に決められたという経緯があります。その後、国家税務総局は今年の11月初めに、『個人所得税自己納税申告方法(試行)』という名の通達を公布し、「年収12万元以上」、「中国国内で二ヶ所以上の収入源がある」、「海外から所得を受け取る」などという規定を盛り込んだ細則が明らかになりました。今回の改革によって、自己申告制度が強化され、また、支払い側と受け取り側の双方から申告することが求められるようになりました。
個人所得税徴収の基準設定や実施細則をめぐり、現在、都市住民の購読者が多い新聞を中心に、活発な議論が行われています。中でも、地域による所得格差や、世帯ではなく個人を課税単位にすることの妥当性などが論議の焦点になっており、先進諸国のやり方なども特集で紹介されています。
申告基準について、一部の専門家は、「12万元は、中国都市部住民の平均レベルに基づいて設定した基準のようだが、しかし、北京、広州などの大都会では、この金額はホワイトカラーの年収と余り変わらず、高給取りには当たらないのではないか」と、画一化された基準設定の不合理性を指摘しています。
一方、今回の個人所得税自己申告制度の導入は、個人所得税制の改革の幕開けとなり、今後も、社会の公平性の実現に向けて税制改革が進められるものと見られています。また、税制度の整備により、政府の税金使用に対する国民の関心度も高まり、関連する監督制度の改善も期待されています。(Yan)
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